明星vs明大中野

太樂知明（明星）

　4月5日、[stadium]府中市民球場[/stadium]で行われた春季東京都大会2回戦の第2試合は、東京明星と明大中野の対決。

　最初に試合を動かしたのは明大中野。2回表二死走者なしから6番・今関 凌雅がヒットで出塁。その後2つの四球を選び満塁とすると、9番・阿部 一輝のタイムリーで2点を先制する。
援護をもらった明大中野先発の川西 雄大は出足好調。ストライク先行でテンポよく投げ込み、1回から3回をそれぞれ3人で抑える。

　4回裏、ここまで川西に抑えられていた東京明星だったが、反撃に出る。先頭の1番・太樂 知明がライトへのツーベースで出塁。続く吉田 拳の送りバントを川西は三塁へ送球するも、太樂の足が勝りセーフ。無死一三塁とチャンスを広げる。
続く3番・折橋 裕太も、ここですかさずバントの構え。セーフティースクイズを成功させ、1点を返す。さらに4番・篠崎 宰響も送りバントで続き、一死二三塁に。「チャンスがあったらバントやスクイズなど、どんどん動いていく」と試合前に話あっていたという東京明星の徹底した揺さぶりに動揺したか、5番・小野 元幹の打席で明大中野バッテリーミスが出て三塁から吉田が生還。同点に追いつく。

　追いつかれた明大中野は続く5回表、二死から2本のヒットと四球で満塁のチャンスを作り出す。先制した時と同じような流れだったが、ここは東京明星先発・矢野 傑が踏ん張り無失点に抑える。

　そして再び試合が動いたのは6回裏。東京明星は前の打席でツーベースを放った太樂からの好打順だったが、その太樂が自打球を顔に当てて退場を余儀なくされる。ここで代わりにバッターボックスに入った窪田 彪冴が振り逃げで執念の出塁を果たす。こうなれば、2番・吉田はやはり送りバント。キッチリと成功させると、嫌な予感を感じたか明大中野・川西の制球が乱れる。この機に乗じ四死球で一死満塁とすると、今度は5番・小野がスクイズを成功させ、この回ノーヒットで勝ち越しに成功する。

先発・川西雄大（明大中野）

　これに対し、なんとか追いつきたいと毎回のようにランナーを出すものの、要所を抑えられホームが遠い明大中野。結局得点を動かすことが出来ず、東京明星が逆転で接戦をものにし、3回戦進出を決めた。

　試合後、石山 敏之監督はホッとしたように
「（明大中野先発・川西は）最初から打てないと思っていました。だから動いたというのが本当のところで。真っ直ぐも速いし、わかっていても打てない。ただ、だから当たれば飛ぶんじゃないか？と。じゃあ変化球を捨てて真っ直ぐを狙っていこうという話をして。また1番の太樂が良く振るんですよね。それがツーベースにつながったんだと思います。」
と、川西攻略とその足がかりとなった4回の太樂のヒットについて振り返った。

　次の3回戦は、修徳と共栄学園の勝者との対戦となる。
「どちらが来ても、強いチーム。僕たちは挑戦者です。萎縮せず、選手たちには伸び伸びやらせたいですね」
石山監督の言葉通り、劣勢となっても常に明るく前向きな声を出し、体を動かしているのが印象的だった東京明星。その明るさとチャレンジャー精神、そして戦略を全員で徹底させられるチーム力で次も勝ち抜くことが出来るか注目だ。

（取材・写真＝青木 有実子）