都立江戸川vs早大学院
都立江戸川打線炸裂!好投手・柴田迅を攻略!
力投を見せる山田(江戸川)
都立江戸川vs早大学院の一戦は激戦となった。
試合が動いたのは2回裏。まず仕掛けたのは都立江戸川だ。4番熊谷拓也は中前安打、その後、一死二塁となって、6番山本拓弥が適時二塁打を放ってまず1点を先生。さらに7番神尾大介の適時二塁打、8番高橋昂希(3年)の適時三塁打。9番山田良樹(3年)の適時打で一気に4点を先制する。早大学院の先発・岸本一真の立ち上がりを見事についた形となった。都立江戸川とすれば、何としてもエースの柴田迅を引きずり出したい思いで、先制攻撃に成功した。
都立江戸川の先発・山田は、球速は、125キロ~133キロぐらいだが、低めへ伸びる球筋が実に良い投手で、スライダー、カーブを織り交ぜながら、ここぞというときにぐっと伸びのあるストレートを投げ込む。度胸もありそうで、近年の都立江戸川の投手の中でもレベルが高いといえるだろう。
だが早大学院も4回表に6番西川佳樹(3年)のバックスクリーンに打ち込む本塁打で、2点差に迫ると、さらに5回表には3番宮崎の適時打で3対4と1点差に迫る。
しかし6回裏、都立江戸川は一死一、二塁から3番星野充(3年)の適時二塁打で、1点を追加すると、4番熊谷の犠飛で6対3として点差を広げたように見えた。だが早大学院の3番手・若汐航(2年)が後続を凌いだことで、早大学院に流れが生まれる。若汐は182センチ77キロと恵まれた体格をしており、右オーバーから投げ込む直球は、120キロ後半~133キロを計測。スライダーの切れも良く、今後も注目をしていきたい投手だった。
7回表、早大学院が反撃開始。2番後藤大有(3年)の左越え本塁打で1点差に迫ると、3番宮崎の安打、盗塁などで一死一、三塁のチャンスを作ると、5番内海の犠飛でついに同点に追いつく。そして一塁走者がスタートを切ると、盗塁を成功し、西川が適時打を放ち、勝ち越しに成功する。
柴田迅(早大学院)
7回裏、満を持してエースの柴田迅が登板。柴田は大会2週間前に腰を痛め、先発を諦め、短いイニングでの起用となった。柴田が先発ではなかったのも、そして岸本が打たれて、序盤から劣勢になる中でも早期登板がなかったのはそういう事情である。
だが投球練習から簡単には打たれないと感じた。腕の振り、ストレートのキレ、スライダーの切れ、何もかも他の投手とはレベルが違った。ノーワインドアップから始動し、ゆったりと左足を上げてから、肩関節が柔らかいのか、テークバックを見ると右腕の入りが大きく、肘を高く上げてトップに持っていき、そして頭をやや前にもっていって、打者寄りでリリースする独特の動きを見せる投手だ。
この試合で初めて投げたストレートで140キロを計測。その後も、140キロを連発し、125キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブを織り交ぜる投球は、今年の西東京の中ではなかなかいない凄味がある。
このまま逃げ切りに成功するかと思われたが、9回裏、都立江戸川の5番・松本がストレートを捉え、レフトスタンドへ飛び込む本塁打で同点に追いつくと、そして延長11回裏には、3番星野が甘く入ったチェンジアップを見事に捉え、ライトスタンドへ打ち込む豪快な本塁打となり、サヨナラで試合を決めた。西東京を代表するであろう柴田を打ち崩して勝利をモノにした意味は本当に大きい。
都立江戸川の橋本監督は今年の打線についてかなり打てる打線だと評価している。バントでも送っていいという場面でも打たせていったように、積極的な気持ちで送り出していったことがサヨナラ劇につながったと考えられる。東東京は神宮第二、江戸川など狭い球場を主戦場とするため、これほど思い切り良く振れる打線は怖い打線になるということは間違いない。
(取材・写真=河嶋 宗一)
注目記事
・2016年度 春季高校野球大会特集