試合レポート

都立江戸川vs早大学院

2016.04.03

都立江戸川打線炸裂!好投手・柴田迅を攻略!

都立江戸川vs早大学院 | 高校野球ドットコム

力投を見せる山田(江戸川)

 都立江戸川vs早大学院の一戦は激戦となった。
 試合が動いたのは2回裏。まず仕掛けたのは都立江戸川だ。4番熊谷拓也は中前安打、その後、一死二塁となって、6番山本拓弥が適時二塁打を放ってまず1点を先生。さらに7番神尾大介の適時二塁打、8番高橋昂希(3年)の適時三塁打。9番山田良樹(3年)の適時打で一気に4点を先制する。早大学院の先発・岸本一真の立ち上がりを見事についた形となった。都立江戸川とすれば、何としてもエースの柴田迅を引きずり出したい思いで、先制攻撃に成功した。

 都立江戸川の先発・山田は、球速は、125キロ~133キロぐらいだが、低めへ伸びる球筋が実に良い投手で、スライダー、カーブを織り交ぜながら、ここぞというときにぐっと伸びのあるストレートを投げ込む。度胸もありそうで、近年の都立江戸川の投手の中でもレベルが高いといえるだろう。

 だが早大学院も4回表に6番西川佳樹(3年)のバックスクリーンに打ち込む本塁打で、2点差に迫ると、さらに5回表には3番宮崎の適時打で3対4と1点差に迫る。
 しかし6回裏、都立江戸川は一死一、二塁から3番星野充(3年)の適時二塁打で、1点を追加すると、4番熊谷の犠飛で6対3として点差を広げたように見えた。だが早大学院の3番手・若汐航(2年)が後続を凌いだことで、早大学院に流れが生まれる。若汐は182センチ77キロと恵まれた体格をしており、右オーバーから投げ込む直球は、120キロ後半~133キロを計測。スライダーの切れも良く、今後も注目をしていきたい投手だった。

 7回表、早大学院が反撃開始。2番後藤大有(3年)の左越え本塁打で1点差に迫ると、3番宮崎の安打、盗塁などで一死一、三塁のチャンスを作ると、5番内海の犠飛でついに同点に追いつく。そして一塁走者がスタートを切ると、盗塁を成功し、西川が適時打を放ち、勝ち越しに成功する。


都立江戸川vs早大学院 | 高校野球ドットコム

柴田迅(早大学院)

 7回裏、満を持してエースの柴田迅が登板。柴田は大会2週間前に腰を痛め、先発を諦め、短いイニングでの起用となった。柴田が先発ではなかったのも、そして岸本が打たれて、序盤から劣勢になる中でも早期登板がなかったのはそういう事情である。

 だが投球練習から簡単には打たれないと感じた。腕の振り、ストレートのキレ、スライダーの切れ、何もかも他の投手とはレベルが違った。ノーワインドアップから始動し、ゆったりと左足を上げてから、肩関節が柔らかいのか、テークバックを見ると右腕の入りが大きく、肘を高く上げてトップに持っていき、そして頭をやや前にもっていって、打者寄りでリリースする独特の動きを見せる投手だ。

 この試合で初めて投げたストレートで140キロを計測。その後も、140キロを連発し、125キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブを織り交ぜる投球は、今年の西東京の中ではなかなかいない凄味がある。

 このまま逃げ切りに成功するかと思われたが、9回裏、都立江戸川の5番・松本がストレートを捉え、レフトスタンドへ飛び込む本塁打で同点に追いつくと、そして延長11回裏には、3番星野が甘く入ったチェンジアップを見事に捉え、ライトスタンドへ打ち込む豪快な本塁打となり、サヨナラで試合を決めた。西東京を代表するであろう柴田を打ち崩して勝利をモノにした意味は本当に大きい。

 都立江戸川の橋本監督は今年の打線についてかなり打てる打線だと評価している。バントでも送っていいという場面でも打たせていったように、積極的な気持ちで送り出していったことがサヨナラ劇につながったと考えられる。東東京は神宮第二、江戸川など狭い球場を主戦場とするため、これほど思い切り良く振れる打線は怖い打線になるということは間違いない。

(取材・写真=河嶋 宗一

都立江戸川vs早大学院 | 高校野球ドットコム
注目記事
2016年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!