秀岳館vs南陽工
予習の成果!
1回の8得点で実質ゲームの流れが決まってしまった。終わってみれば18安打で16得点と好調さを見せつけた秀岳館。その裏には、鍛治舎巧監督が分析した南陽工のエース・重冨将希(3年)対策があった。
「重冨君の1回戦は137球投げて、直球が87球、変化球が50球。その変化球50球のうち、のストライクは17球ほど。それを見て変化球のコントロールに自信を持っていないと思いました。それで直球中心を狙う、低めの変化球に手を出さない。その二つをテーマにやったのですが、ほぼ対応できたと思います」。
鍛治舎監督ら秀岳館スタッフは冬場から自校以外の31校の分析を始めている。それに加えて、1回戦の南陽工の戦いぶりもじっくりと見た。秋の大会と合わせて、「4試合ほど映像を見ました」と試合前に話し、予習を徹底的に行っていたことを明かした。
さらに試合が始まると、「1回戦を全力で投げていたので、その疲れもあったのでしょう。前回はあんな球のノビではなかった」と重冨の調子をすぐに把握した。
そして、相手守備のミスを誘ったのが各打者の強い打球。「トップからミートまでの瞬間をいかに早くするかが年間を通してのテーマ。押し込む力が必要なので、特にロングティーで遠くに飛ばすことをやっている。その成果だと思います」と秘訣を話した。
逆に南陽工はショートの山崎大輔(3年)が最初のゴロをさばいたときに、「打球が速い」と感じ、怯んでしまった。直後のトンネルは、その時にできた弱気が原因だと自らを分析している。秀岳館打線のインパクトは「これまで対戦してきたチームの中で一番強かった」と衝撃を受けたようだった。
さて現在、秀岳館の地元・熊本では春季県大会が行われている。試合前にそのことを指揮官に質問すると、「(熊本県内の)3球場で試合をやっているので、全部観に行かせてます」と先を見据えて甲子園と並行して情報収集していることを話した。
相手チームの予習も勝負に勝つための大事な要素。ただし、選手が事前情報に頼りすぎないようにするためのマネージメント能力が監督には求められる。今大会はそのマネージメント能力がうまくいく監督と、うまくいかない監督が極端に分かれているように感じる。
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