龍谷大平安vs八戸学院光星
指揮官たちの読み合い!
試合前、両チームに設けられる10分間の取材時間。龍谷大平安のキャッチャー・竹葉章人(3年)は、八戸学院光星打線で警戒する打者の一人に、1回戦で5番を打っていたエース・櫻井一樹(3年)を挙げた。しかしメンバー交換をしてみると、先発は和田悠弥(3年)だった。秋季大会での防御率0.00の好投手であるが、それ以上に龍谷大平安の原田英彦監督が「大きかった」と感じたのが、5番に櫻井がいないことだった。
龍谷大平安のエース・市岡奏馬(3年)の特徴を見た八戸学院光星の仲井宗基監督は、「右打者の方が打ちにくそうに感じました。櫻井を入れて攻撃力の絡みをどうしようか。ちょっと難しかった」とエースを先発させない時の打順プランを練る時に色んな考えがあったことを明かした。
ゲームが始まる。
八戸学院光星の先発は和田。龍谷大平安の原田監督は「(動画サイトで)少し見ただけ」と情報の少なさが気になっていた。そんな中で1回裏、一死から出塁した2番・久保田悠(3年)が、和田のモーションを完全に盗み、盗塁を成功させた。その直後に3番・西川藍畝(3年)がタイムリー二塁打を放ち、ポイントになる先取点を奪うことができた。
この久保田の盗塁。情報が少ない中で、原田監督が重視したのはブルペンでの和田のピッチングだ。「見ていて癖がわかった。私が現役時代1番打者だったこともありますが、相手のブルペンは見るようにしています」。
走った久保田自身も、盗塁できると判断したタイミングと同時に、指揮官からサインが出た。八戸学院光星のキャッチャー・奥村が「対応できないほど完璧に盗まれた。初回の1点が悔やまれる」と話したように、両チームの駆け引きの中での1点が決勝点となった。
6回裏の2点目についても触れたい。
八戸学院光星の和田は2回以降踏ん張り、好投を続けていた。6回表の攻撃が終わり、次の7回は和田に打順がまわる。1回から櫻井を準備させていた仲井監督は6回裏を和田のラストイニングに決め、抑えれば7回表の攻撃で代打を出すことを決めた。
しかし打順の流れを考えて、代えてくると読んだ原田監督は「櫻井君は気持ちの強い投手なのでウチは嫌だった」と何とか6回裏に追加点を挙げたい気持ちだった。
その6回裏。先頭の2番・久保田がレフトへ二塁打を放つ。続く3番・西川の送りバントで一死三塁になった時、仲井監督が継投を決断。櫻井をマウンドに送った。だが、4番・橋本和樹(3年)の犠牲フライで、指揮官たちの願いは原田監督に味方した。八戸学院光星は結局、龍谷大平安の市岡を攻略することができなかった。
両指揮官の読み合いだったこのゲーム。最後に原田監督のコメントが印象に残ったので紹介したい。
「相手の和田君は大阪出身なんですよね。ウチにも同じチーム出身の選手がいるので、(2回戦までの数日間に)情報戦をしていました」。
高校野球の読み合い、情報戦は面白い!
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