川越東vs市立川越
決定力不足の新生・川越東、何とか市内のライバル対決を制す
二番手でマウンドに上がったメンディス(市立川越)
野球で“決め切れない”、“決定力不足”という言葉はあまり使うことはないのだが、この試合はまさにこの言葉があてはまる試合展開となった。
高橋 佑樹、福岡 高輝、駒崎 真也など投打の絶対的な軸がごっそりと抜け、ほぼ一からのスタートとなった川越東。8月に行われた新人戦・西部地区大会で優勝するなど、まずは新チームが好調な滑り出しを見せていた。だが、秋季大会地区予選、初戦の相手は市内のライバル市立川越。川越東はいきなりチームの真価が問われる試合を迎える。
川越東が星野 裕帆、市立川越はエース早川の両右腕が先発し試合が始まる。
試合序盤、まずは川越東がペースをにぎる。早川の立ち上がりを攻め、一死から2番・香取がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く野口もライト前ヒットを放ち一死一、二塁とチャンスを掴む。さらに4番・青山が四球を選び満塁とすると、5番・星野のセカンドゴロの併殺崩れの間に1点を先制すると、さらに浪江がレフト前タイムリーを放ち川越東が幸先良く2点を先制する。
川越東は二回表にも一死から9番・田村がライト越えの二塁打で出塁すると、さらに小泉、香取の連打で一死満塁とし、早くも早川をマウンドから引きずり下ろす。代わったメンディスから3番・野口がセンターへ犠飛を放ち1点を追加すると、さらに続く青山もセンター前タイムリーを放ち4点差をつける。
一方、4点をもらった川越東・星野だったがピリッとしない。
その裏、市立川越はこの回先頭の山鳥がセンター前ヒットで出塁すると、続く篠田との所でエンドランを決め無死一、三塁とすぐに反撃を開始する。ここで星野はやや力んだか変化球がすっぽ抜け大暴投となり1点を失うと、さらにその後一死三塁から7番・松尾にライト前タイムリーを浴び、すぐに2点差とされてしまう。
だが、川越東は3回表にもこの回先頭の浪江がライト前へポトリと落ちる二塁打で出塁すると、さらに一死三塁から小沢のセカンドゴロで1点を奪い再び5対2とし3点差をつける。しかし市立川越も4回裏、この回先頭の山鳥が死球で出塁すると、続く篠田がライト前ヒットを放ち無死一、二塁とチャンスを作る。ここで6番・上原はファーストゴロを放ち一死二、三塁とすると、続く松尾が犠飛を放ち5対3と再び2点差とする。
川越東は6回表、この回先頭の香取が死球で出塁すると、続く野口がセンター前ヒットを放ち無死一、二塁とチャンスを広げる。4番・青山がライトへ犠飛を放ち一死一、三塁とすると、続く星野が四球を選び一死満塁。ここで続く浪江がライト前へポトリと落ちるタイムリーを放ち3点差とするが、後続が続かず満塁のチャンスを逃しこの回は1点で攻撃を終了する。
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テンポの良い投球で試合の流れを変えた島田(川越東)
この一進一退の試合展開を変えたのは7回から登板した川越東エースの島田だった。テンポの良い投球で試合の流れを変える投球を見せる。
すると8回表、この回先頭の香取がレフト前ヒットで出塁すると、一死後4番・青山もレフト前ヒットで一死一、二塁とチャンスを広げる。ここで続く星野が右中間へタイムリー二塁打を放ちさらに1点を追加しダメを押した。だが、その後の満塁のチャンスでまたしても後続が凡退し試合を決められない。
結局はその後も島田が安定した投球をみせ、7対3で川越東が粘る市立川越を振り切って初戦を物にした。
まずは市立川越だが、やや星野の直球に力負けしてしまった感がある。またボール球にも手を出しやや制球に苦しんでいた星野を助けてしまった。だが、2回途中から登板した1年生左腕メンディスは3度の満塁のピンチを最少失点で切り抜けるなど良く投げた。まだまだ伸びしろがあるだけにきっちりと冬場の練習を乗り越えると、来春以降はエースナンバーを背負っている可能性がある。
一方、川越東はこの日15安打と打線はまずまず好調を維持しているが、単打が多くここぞという所で一本が出ない。終始押し気味に試合を進めながらも一気に試合を決め切ることができなかった。また今年のチームの売りであるはずの足を使ったシーンもあまり見ることができなかったことは残念である。
投手陣では先発・星野はまだフォームが固まっておらず、発展途上である。もう少し下半身をうまく使えるようになれば制球も安定してくるのだろう。守備でも二遊間は不安定で、現状はまだ投打に決定力不足である。
とはいえ今年の新チームはまだまだ発展途上だ。どんな形であれ市内のライバル市立川越相手に公式戦三連勝を挙げたのは大きい。まずはこの試合の課題をしっかりと修正し今後に活かしてもらいたい。
(文=南 英博)
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