試合レポート

仙台育英vs秋田商

2015.08.17

2日で球数290球、秋田商の好左腕・成田翔、仙台育英の強力打線に敗れる

 前日、延長10回を完投、161球を投げ抜いた秋田商のエース・成田 翔(3年)の立ち上がり、自慢のカーブ、スライダーは浮いていた。それでもストレートの威力は衰えず仙台育英の強力な上位打線を三者凡退に抑える。2回以降、徐々に変化球が決まるようになり一巡目をパーフェクト。

 しかし、打線も仙台育英の先発・佐藤 世那(3年)から1点が奪えない。鍛えられた仙台育英内野陣は不十分な体勢からでも送球が逸れず好プレーを連発する。

 互いにホームベースが遠い序盤戦を終えると中盤に振りの鋭い仙台育英打線が連投の成田 翔に襲いかかる。
4回二死まで完全投球を許していたが、3番・平沢 大河(3年)が先制のソロホームラン。インハイの難しいストレートをうまく捌きライトスタンドに叩き込んだ。

 5回には連打と四球でランナーをため無死満塁。セカンド守備で再三好プレーを見せていた谷津 航大(3年)のセンター前にフラフラっと上がった打球は詰まったことが幸いして2点タイムリーに。この後、好投を続ける佐藤世にもタイムリーが飛び出しこの回3点を加えた。

 しきりにエンドランを仕掛けながらも局面を打開出来なかった秋田商は4点を追いかけることになったその裏、キャプテン・会田 海都(3年)のタイムリーツーベースで1点を返す。追い上げムードを作りたかったが直後の6回、成田 翔が連打を浴び無死一、二塁とピンチを招く。ここで勝負強い紀伊 海秀(3年)を併殺打に打ち取り二死三塁としたが、前日4安打の百目木 優貴(3年)にセンター前タイムリーを許してしまう。


 仙台育英の好投手・佐藤 世那を相手にリミットとも思える5点を失うとマウンドを斉藤 優(3年)に譲る。後続を断った斎藤だが2イニング目となった7回、一死から仙台育英の2番・青木 玲磨(3年)にスリーベース打たれる。

 続く平沢 大河の当たりは大きなライトフライ。犠牲フライには飛距離十分に思えたが、降板後はライトの守備に就いていた成田 翔が捕球すると見事なワンバウンド送球で本塁タッチアウト。追加点を阻むと成田 翔は8回から再びマウンドへ。6回の降板時で92球だった球数は最終回を前に100球を超えた。

 5点を追う9回裏の攻撃、先頭で打席に立った成田 翔は、依然球速の落ちない佐藤世の140km/hを超えるストレートの前に空振り三振。チャンスメイク出来なかったが二死から成田 和(2年)が四球を選び、守備から出場していた柴田 輝(2年)がライト前ヒットでつなぐ。すると成田 翔の球を受け続けた工藤 慶(3年)のタイムリーツーベースに相手の失策が重なり2点を返す。球場の声援を味方につけた会田の打球は快音を残したが佐藤世のグラブに収まるピッチャーライナーとなりゲームセット。

 延長10回を完投してから27時間後にプレーボールを迎えた秋田商の好左腕・成田 翔、準決勝進出はならなかったが2日で290球を投げ聖地のマウンドに確かな足跡を残した。

(文=小中翔太

仙台育英vs秋田商 | 高校野球ドットコム
関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!