東海大甲府vs下関商
東海大甲府・菊地が本領発揮!打線も積極的打法に転じた6回以降、6得点!
菊地を攻守で盛り立てた正捕手・飯塚 隆哉(東海大甲府)
東海大甲府の先発投手、菊地大輝(2年)が持ち味を存分に発揮した。ストレートのMAXは1回表、2番松本知紘の2球目に投じた146キロ。速いが、持ち味は低目のコントロールと変化球のキレのほうである。130キロ台前半で小さく沈むツーシーム、120キロ台後半で横変化するスライダー、さらに125、6キロで小さくストンと落ちるフォークボールのような球がある。これがツーシームならずいぶんバリエーションが豊富だ。
低目のコントロールとキレのある変化球を証明するのが「アウト」の内容だ。下関商の27アウトの内訳は三振8、フライアウト2に対してゴロアウトは17を数えた。右打者は三遊間方向、左打者は一、二塁方向への打球が多く、いかに引っ掛けていたかわかる。
投球フォームはスリークォーター。体を横振りにして、そのねじり返しで投げにいく。このタイプに特徴的な体の開きが菊地にもある。こういう投手は右打者の内角に投げられないのが普通だが、菊地はがんがん攻めて行く。4回表の無死二、三塁のピンチでは4番坂口来斗に対して、<内角高め139キロストレート→外角低め130キロスライダー→内角低め132キロストレート→内角ストレート>と、2球目以外は厳しい内角攻めを展開、三塁ゴロに打ち取っている。
攻撃陣に目を移そう。「全投球に占めるストライクの見逃しの割合」――つまり、見逃し率は両校とも5回終了時点では下関商20 .3%、東海大甲府20.5%と差がなかった。しかし、9回で試合が終ったときには下関商19.9%、東海大甲府16.9%と大きく差がついた。
序盤は相手投手と自分たちの力関係を見るため攻撃が慎重になり、見極めたあとは積極的に打っていく――そういう傾向があることを、見逃し率を調べているとわかってくる。この試合の東海大甲府にもそれがあてはまる。5回終了時の見逃し率20.5%に対して、後半の6~8回は12.5%に激減。そして、その3イニングに6点取っている。
積極打法で目立つのは3番角山颯(左翼手)だ。5回には一塁に走者を置いて初球を右中間に二塁打、6回には2死満塁のチャンスで1ストライクからの2球目を左中間の二塁打と打ち分けている。ヘッドを揺らして打ちに行くのは強いリストを効果的に使いたい気持ちの表れか、金本知憲(元阪神)の現役時代を思わせた。筋力の発達した体型も似ている。この角山とともにクリーンアップを組む4番平井練も2安打を放ち、主軸がしっかり機能しているところが東海大甲府の最大の強みだろう。
(文=小関 順二)
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