試合レポート

横浜vs桐光学園

2015.07.27

横浜、桐光学園の粘りを振り切る 5番石川のサヨナラ安打で2年ぶりの決勝へ

 2012年、2013年と死闘を演じてきた横浜vs桐光学園。この試合も1点を争う好勝負となった。
横浜の先発は石川達也(2年)。立ち上がりは四球を出すなど、やや苦しい立ち上がり。1回裏、横浜2番戸堀敦矢(2年)が四球で出塁、戸堀は盗塁を仕掛け、3番三河聖央(3年)の内野ゴロの間に二死三塁となって4番公家響(2年)の投手強襲安打で1点を先制する。2回表、二死二塁のピンチを招くがしっかりと抑える。

 石川は130キロ前半のストレート、スライダー、カーブを投げ分け、4回まで無失点に抑えていたが、5回途中で降板。だが2番手・春日井静斗(3年)も5回は抑え、その裏、一死二塁から三河の適時打で1点を追加し、2対0とする。しかし公家が併殺に倒れ、嫌な流れなところで、桐光学園は2番・渡部遼人(1年)の四球、根本郁也(3年)の三塁線へのバント安打で一、二塁のチャンスを作ると、恩地が凡退したが、中川颯(2年)の中安で一死満塁。この場面で3番手にエース・藤平尚真(2年)が登板。しかしパスボール、田中幸城(3年)の適時打、大坪 亮介(2年)のスクイズで勝ち越しに成功。単打、小技が鮮やかに決まり、あっさりと逆転に成功した。さすが桐光学園、畳みかける時の攻撃は抜け目がない。

  だが横浜は7回二死から増田珠(1年)が振り抜いた打球はレフトスタンドへ。何と一発で同点に追いついてしまう。1年生ながら横浜のセンターを守る増田。守備範囲の広さ、地肩の強さ、打撃の正確性はとても1年生とは思えないレベルだが、そして遠くへ運ぶパワーもある。この日はアンダースローの中川から安打を放ったように多くの好投手から安打を放っており、どのタイプにも対応ができる。打撃技術は大きな欠点はなく、今、清宮幸太郎が騒がれているが、野球選手としてのスキルの高さは上回っているものがあるのではないだろうか。その後はエース藤平が、最速139キロのストレートを軸に桐光学園打線をねじ伏せる。

 試合は9回になっても決着がつかず、10回裏、一死二塁から5番石川が右中間を破る適時二塁打でサヨナラ勝ち。ノーシードから決勝まで勝ち進んだ。このケースは2010年と似ているが、個々の力量は上だろう。ただところどころで守備のミスがあり、横浜らしさを欠くところはある。決勝戦ではそういうミスを崩さずに試合運びができるか。渡辺元智監督のラストサマーも、甲子園まで続く可能性が出てきた。次の決勝戦は一番険しい戦いになる。

 
 選手たちは今まで以上の底力を発揮できるかがカギとなりそうだ。

(文=河嶋宗一


関連記事
・第97回全国高等学校野球選手権大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!神奈川県の野球部訪問を一挙紹介!
・夏よりも熱い!全国の野球部に迫った人気企画 「僕らの熱い夏2015」

第97回全国高等学校野球選手権大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!