試合レポート

霞ヶ浦vs日立一

2015.07.26

「臥薪嘗胆」霞ヶ浦が6度目の正直。安高颯希投手、綾部翔投手の1安打完封リレーでついに茨城の頂点に輝く!!

 7月23日に予定されていた決勝戦は天候不順のため中止となり24日に順延された。迎える決勝戦は、第11シード・霞ヶ浦とノーシード・日立一というカードとなった。

 過去8年間で6度目、3年連続となる決勝に臨む霞ヶ浦は、準々決勝・第3シードの石岡一戦で、背番号10の左腕・安高 颯希(3年、桃山中、オール茨城)が完投(試合レポート)。準決勝は第2シード・明秀学園日立に対し、背番号1の最速145キロ右腕・綾部 翔(3年、取手シニア)が完投し、共に1点差の接戦をものにしてきた(試合レポート)。この日の先発は、左腕・安高に託された。

 一方、1985年以来30年ぶり5度目の決勝となる日立一は、背番号3のエース右腕・鈴木 彩斗(2年、北茨城常北中、オール茨城)が、ここまでの6試合、全56イニングのうち51イニングを1人で投げ抜き、被安打51、奪三振29、四死球16、防御率1.76。ランナーを背負いながらも得意のスライダーを織り交ぜ、的を絞らせない粘りの投球でここまで勝ち上がった。この日の先発も、もちろん鈴木 彩斗だ。

 1回裏、霞ヶ浦は先頭の佐藤 拓海(3年、瑞穂シニア)がエラーで出塁し、送って一死二塁。3番・関口 淳之介(3年、世田谷ボーイズ)はライト前ヒットで一死一、三塁のチャンスを迎えると、4番・清水 逹希(3年、土浦三中、オール県南)はバントの構えから初球にセーフティスクイズを決めて1点を先制する。なおも二死二塁から、5番・根本 将汰(2年、取手シニア)は逆方向となるレフト越タイムリーツーベースを放ち1点を追加する。
再び二死二塁とし、6番・安高はフルカウントからレフト前ヒットを放つが、レフト・青山 尚寛(3年、河原子中、オール茨城)の好返球に阻まれ二走・根本将は本塁タッチアウトとなる。
日立一0−2霞ヶ浦

 先制を許した日立一は2回表、二死から6番・渡邊 文弥(3年、磯原中)が死球で出塁。カウント1ボール1ストライクから、ピッチャー・安高の牽制によりタッチアウトかと思われたが、ボーク判定により二死二塁のチャンスを迎える。しかし、7番・橋本 聖紀(2年、水戸シニア)は空振り三振に倒れる。

 2回裏、霞ヶ浦は二死から9番・野村 晃輝(3年、下妻東部中、オール茨城)が左中間ツーベースで出塁し、二死二塁のチャンスを作るが、後続は倒れる。

 3回表、日立一は先頭の8番・吉原 研斗(2年、豊浦中)が四球。2番・鈴木 綾人(2年、東海中)と3番・青山は連続死球で、二死満塁の絶好機に頼れる4番・鈴木彩を迎えるが、安高のスライダーにタイミングが合わず、ショーフライに倒れる。

 大ピンチを凌いだ霞ヶ浦は、3回裏に追加点のチャンスを作る。
2番・益子 侑也(1年、水戸東シニア)は死球。3番・関口はエンドランでスイングにいった際、捕手のミットがバットに当たってインターフェア。無死一、二塁から、4番・清水はサード前にセーフティバントを成功させ、無死満塁の絶好機を作る。しかし、5番・根本 将のファーストゴロは本塁封殺で一死満塁。6番・安高はセカンドゴロ併殺に倒れ、追加点が奪えない。


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第97回全国高等学校野球選手権大会

 大ピンチを凌いで今度は日立一に初ヒットが生まれる。4回表、先頭の5番・木村 亮介(3年、水戸五中)がセンター前ヒットで出塁し、送って一死二塁。続く7番・橋本のショートゴロは、ショート・小川 翔平(2年、水戸シニア)の捕球間際に高くイレギュラーして小川は止めるのが精一杯(記録はエラー)。一死一、三塁とするが、8番・吉原のピッチャーゴロで三走・渡邊が飛び出してサードでタッチアウトとなり二死一、二塁。続く9番・塙 拓大(3年、勝田一中)はショートゴロに倒れ1点が遠い。

 4回裏、霞ヶ浦は先頭の7番・小川がライト前ヒットで出塁し、8番・齋藤 智徳(3年、常総シニア)は四球で無死一、二塁。さらにパスボールで進塁し、無死二、三塁の大チャンスを迎える。しかし、9番・野村はインスラを見逃し三振。1番・佐藤はライトへの浅いファールフライ。2番・益子のライト前方へ落ちようかという強烈は当たりは、ライト・木村のダイビングキャッチに阻まれ、この大チャンスも生かすことができない。

 6回裏、霞ヶ浦は先頭の安高に代打・根本 薫(2年、取手シニア)を送るが、空振り三振。二死から8番・齋藤がライト前ヒットで出塁するも、後続は倒れる。

 7回表、霞ヶ浦は2番手に背番号1の右腕・綾部 翔を投入し、三者凡退に抑える。
7回裏、霞ヶ浦は一死から2番・益子がセンター前ヒットで出塁し、盗塁を成功させ二死二塁とするが、4番・清水は空振り三振に倒れる。

 8回裏、霞ヶ浦は一死から6番・綾部がライトエラーで出塁し二塁まで到達。さらにパスボールで一死三塁。7番・小川は四球で一死一、三塁のチャンスを迎える。ここで8番・齋藤はカウント2ボールナッシングからスクイズを試みるが、一塁線に切れてファール。カウント2ボール1ストライクからまたしてもスクイズを試みるが、アウトコース低めのスライダーを空振り。三走・綾部は挟殺でタッチアウトとなる。二死二塁とし、打者・齋藤は空振り三振でこの回も追加点が奪えない。

 日立一は5回以降、1人のランナーも出せずチャンスらしいチャンスがない。迎える9回表、先頭の4番・鈴木彩は3球ファールで粘るものの空振り三振に倒れ一死。5番・木村はセカンドゴロで二死。6番・渡邊は見逃し三振に倒れ勝負を決する。

 霞ヶ浦が2対0で日立一を下し、6度目の決勝で悲願の初優勝を果たした。

 試合終了後に行われた場内インタビューで髙橋 祐二監督は、これまでチームを率いて15年でやっと夏の甲子園へ出場を決めた思いを語ってくれた。

 インタビュアーの質問に対して、終始「選手たちがやってくれました」と選手の健闘を讃える場面が印象的であった。
学校関係者、悔しい想いをしてきたOB、保護者の方々、全ての方々に恩返しをしたいとずっと思っていた髙橋監督は、これで少しは恩返しができたかなと思いホッと胸をなでおろした。
最後に、甲子園に向けて「茨城県の代表として恥ずかしくない戦いをして、霞ヶ浦高校の校歌を、ぜひ甲子園で唄いたいと思っております」と締めた。

(文=伊達 康


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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