試合レポート

県立商工vs瀬谷

2015.07.12

1回戦とは思えないハイレベルな戦い!県立商工が接戦を制し、2回戦進出!

 腰が入った構えから放たれる打球の速さ、送球の力強さ、スピード感あるプレーなど、1つ1つのプレーの精度が高く、とても1回戦とは思えないハイレベルな戦いであった。

 1回裏、県立商工が一死一、三塁から4番中本海都(2年)の右前適時打で先制。さらに3回裏、二死一、三塁から6番袰岩 恒太(2年)の左前適時打、7番田代大輝(3年)の右前適時打で3対0とする。

 県立商工の先発・田代は中々の好左腕。173センチ71キロとすらっとした左腕。右足を高々を上げてから、インステップ気味に踏み出し、テイクバックをコンパクトに取ってから外回りの腕の振りになっていることと、高めに浮くストレートがあるのが気になるが、常時120キロ後半~130キロ前半を計測。曲りが鋭いスライダーをコンビネーションに立ち上がりは2三振を奪うなど、上々の立ち上がりを見せるなど、県立商工が有利な流れとなっていた。

 しかし4回表、瀬谷は3番田中佑典(3年)が中前安打で出塁すると、送球ミスなどもあり、一死一、三塁から県立商工の守備ミスで1点を返すと、さらに二死一、三塁の場面で、一塁走者がわざと挟まれ、その間に三塁走者が生還し、2対3と1点差に迫る。

 だが県立商工は5回裏、5番古屋 羅威夜(2年)の二塁打をきっかけに、一死一、二塁のチャンスを作り、7番田代の右前安打で、二塁走者が突っ込むが、ライトの杜が好返球で二死二、三塁としたが、8番雨宮正輝(3年)が前進守備の外野の頭を超え、適時二塁打で4点を追加し、5対2とする。

 その後、田代は7回表に7番短期脇の適時二塁打で1点を返されるが、8回表に全力投球。130キロ前半のストレートと、スライダーを駆使して、三者連続三振を奪い、勝負ありのように見えた。

 しかし9回表、瀬谷が反撃をする。先頭の杜が中前安打で出塁。4番に座る杜だが、威圧感ある構えをしており、ヘッドスピードが速く打球も速い。181センチ85キロと体格も素晴らしく、強肩強打の右打ちの外野手として実に楽しみな選手であった。

そのあと、併殺で二死になったが、6番平野が左中間を破る強烈な二塁打を放ち、7番谷脇が左前適時打を放ち、5対4の1点差に迫った。しかし後続が倒れ、試合終了。県立商工が接戦を制し、2回戦進出を決めた。

 県立商工はエースの田代と絶対的な存在がいる。また、4番中本、5番古屋と180センチを超える打者が揃い、そして2人とも打球が鋭く、秋以降も注目をしていきたい選手だった。2年生ショートの小島の動きも良く、センターラインにしっかりとした選手がいるのは大きい。次は横浜隼人と対戦するが、十分に対抗できる実力を持った好チームである。

 敗れた瀬谷。ちょうど5月末の練習試合で瀬谷を見る機会があった。どちらかというと守りのチームという印象を受けたので、好左腕・田代から10安打を打ったのは驚きであった。高めの速球を見逃さずに長打にすることができたのは大きな成長点だろう。打撃が良かった。1か月間で着実にチームとして強くなっていたのだ。

率いる瀬谷の平野監督は勉強熱心な指導者で、県外の強豪校と練習試合を行いながら、いろいろなものを得てチームに還元してきた。敗れたが、次につながる戦いぶりであった。

 この試合が最後までに手に汗握るハイレベルなベストゲームだったことを試合後の大きな拍手が証明していた。

(文=河嶋宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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