糸満vs九州学院
2011年5月、熊本県側からの提案で両県の親善交流を深めつつ、且つ互いの強化を図ることを目的とした熊本・沖縄親善交流強化試合が9、10日の両日、[stadium]沖縄セルラースタジアム那覇[/stadium]にて行われた。
九州大会で発揮した鬼のような終盤の強さを、ここでも見せた糸満ナイン
友田(九州学院)
第135回九州地区高校野球大会では、延長11回に3点を奪った明豊戦をはじめ、8回に同点に追いつき10回にサヨナラを演じた神村学園を下し準優勝。年が明けた第136回九州地区高校野球大会でも2回に5点を奪われた鶴崎工や飯塚との戦いでもジワジワと追い上げ、両試合とも9回に3点を挙げて同点に追いつき延長で突き放し4強入り。序盤の攻撃と終盤の攻撃が、これほど変わるチームも中々あるものではないだろう。そんな糸満は、この試合でも終盤の鬼のような強さを見せつけた。
初回、2番岡田樹がヒットを放つが、九州学院の藤嶽の前に4回まで二塁を踏めない淡白な攻めを続ける。だが5回、5番大城翔太郎が出塁すると犠打とワイルドピッチで一死三塁とし、金城旭貞がセンターへ高々と犠牲フライを上げて先制。そして終盤の7回、変わったばかりの二番手の光田 一貴から3番大城龍生が内野安打で出塁すると盗塁を成功させチャンスを広げる。続く金城乃亜が期待に応えてセンター前へ弾き返して加点。犠打と太田貴斗のセンター前ヒットで一・三塁とすると、金城旭が今度はスクイズを成功させて2点目をボードに刻んだ。
さらに糸満は8回、相手の併殺狙いからのエラーで1点を挙げると、9回にもワンヒットと2つの四死球で満塁とし、9番比嘉良平が逆らわずライトへ流し打つタイムリー。トップへ帰って池間誉人がライトへ犠牲フライを打ち上げて三塁走者を迎え入れるなど終盤の3イニングだけで5点を奪い快勝した。エース金城乃は5回を投げてゼロ三振も3安打無失点に抑えるコースを丁寧に突くピッチングが好印象だった。
興南戦から数えて15イニング連続無得点で三塁を踏めずじまいだった九州学院だったが7回、二死から相手のエラーで走者を得ると、5番友田 晃聡がライトへタイムリー二塁打。さらに続く栁内 一輝も同じくライトへ運ぶ連続長打で一矢を報い、強打の片鱗をみせてくれたが、坂井宏安監督が一番ホッとしたのは藤嶽の力投ではなかっただろうか。秋、12試合を一人で投げ続けた伊勢に次ぐ投手という意味でも、6回20人の打者に対して被安打2自責点1は、十分過ぎるほどの及第点に思えた。
(文=當山 雅通)