試合レポート

横浜創学館vs湘南

2015.04.19

最速146キロ右腕・望月惇志が8安打を打たれながらも要所を締め完投勝利!

先発・望月惇志(横浜創学館)

 今年の神奈川県は、吉田凌小笠原慎之介(東海大相模)の2人がドラフト候補として注目されているが、もう1人、NPBスカウトから注目されているのが望月 惇志横浜創学館)だ。188センチの長身から投げ込む最速146キロの速球を誇る大型右腕である。
前日の川崎北戦で、最速146キロを計測し、好調を維持しているが、気になるのは実戦力である。
スピードは出ていても、打たれる投手というのは多い。湘南は、5番大沼拓都(3年)を筆頭に、ミート力が高い打者が揃っている。望月の実戦力を図るには絶好の相手である。

 注目の立ち上がり。いきなり好打者・笠原に中前安打を浴び、2番淵脇の犠打で一死二塁のピンチを招く。だが3番角谷を空振り三振に打ち取り、4番馬込に死球を与えたが、5番大沼を二ゴロに打ち取りピンチを切り抜ける。

 その裏、横浜創学館は、二死から3番横田が敵失で出塁すると、4番沼上が左中間を破る長打。山田は俊足を飛ばし、一気に本塁に生還し、湘南が1点を先制する。
さらに2回裏、横浜創学館は、6番渡辺は死球。7番上原は遊撃内野安打で無死一、二塁。8番望月が犠打で送り、一死二、三塁から9番伊藤の左前適時打、1番吉川の犠飛で2点を追加。湘南のエース・千脇諒太の立ち上がりをうまく攻めて2回までで3点をリード。望月にとっては大きな援護になった。

 望月は9回を投げ抜くために、序盤は力をセーブして投げていた。130キロ前半のストレート、スライダー、カーブを外角中心に投げ分けるが、湘南打線も望月の速球を捉え、毎回のように出塁する。だが望月はランナー二塁に達すると、ギアを入れ替え、全力投球。140キロ前後の速球で押し切って凌ぐ。この日の最速は144キロ。偵察隊のスピードガンでは、コンスタントに140キロ~145キロを計測しており、スピード能力は本物だろう。

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先発・千脇諒太(湘南)

 望月は4回表、二死二塁から8番田中の適時打を許し1点を失うが、長打を許さないのが良いところ。横浜創学館バッテリーはシングルヒットを打たれる分には仕方ないと割り切ってゲームメイクをしていた。
最大のピンチは6回表。湘南4番馬込に対し、失策でいきなり得点圏に走者を背負い、5番大沼に中前安打を許し、無死一、三塁のピンチを招く。
だが望月は冷静だった。6番大音は浅い右直でタッチアップを許さず。7番千脇は、140キロ台のストレートで押して、最後は128キロのフォークで空振り三振に奪うと、8番田中をニゴロに打ち取り、ピンチを切り抜ける。

 7回以降、ランナー無しで球速をセーブすることが多かった望月だが、ランナー無しでも常時135キロ~140キロを計測し、9回になっても、130キロ後半を計測。8安打を打たれながらも要所を締めて、1失点完投勝利を挙げた。速球投手は走者を出すとバタバタする傾向にあるが、望月にはそれがなかった。

 課題に残ったのは、下半身の使い方だ。試合後、望月は、コーチに指導をしてもらっていた。コーチに内容を聞いてみると、踏み込んだ左足の開きが早くなっていたこと。それと左足を上げたときに、いかに間合いを作ることができるかを指導したという。
確かに望月の投球を振り返ると、踏み込んだ左足が突っ張って、うまく体重が乗らない状態で投げ終えることが多かったので、気になっていた点であった。スピード自体は出ているが、空振りは少なかったのはこのためだろう。だがその課題を抱えながらも、これほどの投球ができるのだから、ポテンシャルはかなりのモノがある投手であることは間違いない。上記の課題を克服したとき、どんなストレートを投げ込んでくれるのだろうか。
次の桐光学園戦ではより進化した投球を見せることができるか。さらにステップアップするためには、重要な試合になりそうだ。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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