試合レポート

加世田vs徳之島

2015.03.29

2番・森山が決勝タイムリー・加世田

サヨナラ二塁打を放つ森山(加世田)

 加世田は2回、9番・中山拓真(3年)のレフト前タイムリーで先制。3回に同点に追いつかれたが、その裏、二死三塁から5番・恒吉隼人(3年)のレフトオーバー二塁打、6番・新澤泰史(3年)のセンター前タイムリーで2点を勝ち越した。

 7、8回は徳之島が二死から得点し、逆転。そのまま逃げ切るかと思われたが、加世田は9回裏、3番・田原弘康(3年)のライトオーバー二塁打で同点に追いつく。延長10回裏、二死一二塁で2番・森山史也(3年)がレフトオーバーの二塁打を放ち、加世田が劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

 2点ビハインドで迎えた7回表、徳之島は簡単に二死となってから、8番・新田和輝(3年)が意表を突くセーフティーバントを仕掛ける。

「一塁手が後ろに下がっていたので、一か八か、狙ってみた」。ここまで攻撃のリズムをなかなか作れなかった中、新田和の思い切りが打線に喝を入れた。9番・喜多川大地主将(3年)がレフト前ヒット、1番・永治博朗(3年)が四球でつないで満塁と好機を広げると、相手がタイムをとって伝令を送る間、三走・新田和は打席に駆け寄り、2番・松山大祐(2年)に声を掛ける。

「結果は悪くても構わないから、楽しんで思い切って振ってこい」
打席の下級生の緊張をほぐそうと発したアドバイスだった。松山の打球は二ゴロだったが、転がした分相手のミスを誘い、起死回生の同点打となった。

 8回に粘りの投球を続けていた7番・野崎龍生(3年)が自らのバットで勝ち越し打を放ち、一気に勝ち切りたかったが、9回に同点に追いつかれ、10回にサヨナラ打を浴びた。同点打も、サヨナラ打も、いずれも初球を痛打された。

「最後の1球は外角低めのチェンジアップ。構えたミットに(野崎)龍正は投げてくれたのに、僕の責任」
リードしていた新田和は、ホームベースに突っ伏して悔し泣きした。
「前チームからマスクをかぶっていて、1人で背負ってしまったのでしょう」と田村正和監督は気遣った。

 初戦に続いて無失策の守備、終盤みせた粘りと、力強さの「片鱗」はみせたが「今の時点ではまだまだ未完成だった」(田村監督)。

 簡単に3ボールになったかと思えば、勝負どころでは厳しいボールを投げてくる相手エースを、終盤まで攻略できなかった。
得意の「足攻」も封じられ、先手を取られた展開を盛り返すだけの底力がなかった。普段はマメに声を掛け、気配り上手な新田和も最後の場面は「周りがみえなくなっていた」と悔やむ。
「大事な場面こそ冷静になって周りが見えるようになりたい」と、屈辱をバネに成長することを誓っていた。

(文=政 純一郎

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!