国分中央vs奄美
「気持ち、ぶれずに戦えた」奄美
国分中央・前田
国分中央は3回、1番・田中遼太郎(3年)のレフトオーバー二塁打で先制。4回に同点に追いつかれたが、5回に4番・下原優斗(3年)のライト前タイムリーで勝ち越し。8回には捕逸で貴重なダメ押し点を上げた。先発の前田は尻上がりに調子を上げ、中盤以降追加点を許さなかった。
今月で異動が決まった奄美・前園昌一郎監督にとっては、今大会が奄美で指揮を執る最後の大会になる。白星で飾ることはできなかったが「4年間、気持ちで負けるなと言い続けて、気持ちがぶれずに戦えた」ことを確信できた一戦だった。
相手は昨夏4強の国分中央。個々の能力、チーム力は奄美よりワンランク上のチームだが、奄美ナインは地に足がついた戦いができた。
4回まで毎回のように先頭打者を出しながら、エース林健斗(3年)の粘りの好投の前に、野手が再三の好守で盛り上げる。
2回一死二塁のショートゴロの場面では、遊撃手・福山竜生(3年)が飛び出した二走にタッチして素早く転送し、併殺を取った。3回は左翼手・山田純(3年)が左中間の当たりをダイビングキャッチして、追加点を許さなかった。二塁手・中村宥人(2年)は球際のボールを何度も軽快にさばき、一塁手・箕輪鉄馬(2年)はファールフライに飛びついた。誰1人気負うことなく「1人1人気持ちが入って堂々とプレーできた」(市村尚人主将・3年)。
思えば4年前、就任してから前園監督が言い続けたのは「鴨池の大舞台で普段通りのプレーができること」だった。特別なことをしたつもりはない。日常生活面から厳しく追い込み、やるべきことを地道に徹底し続けただけだ。相手は強豪、監督のラストゲームという「特別な舞台」だったが、市村主将は「いつも通りの風景で試合ができた」と胸を張る。試合展開やポジショニング、次何をすべきかを、1人1人が最後まで声を掛け合い続けたことが、数々の好守と無失策につながった。
チームの成長を確信した一方で、前園監督は「負けは負け。『よく頑張った』で終わらせて欲しくない」ことを期待する。どんなに良い試合でも負ければ、まだまだ未熟な部分がある証。それらを持ち帰って島で鍛錬する営みに終わりはない。
市村主将は「夏は前園先生に『春よりも成長した』と言ってもらえるチームなる」と誓っていた。
(文=政 純一郎)