試合レポート

浜松修学舎vs豊橋工

2014.10.18

東海大会初出場対決、浜松修学舎が新しい歴史を築く

 東海地区大会としてはフレッシュな初出場対決となった。

浜松修学舎vs豊橋工 | 高校野球ドットコム

テンポのいい投球で豊橋工を抑えた小林君(浜松修学舎)

 豊橋工は、右本格派として評価の高い森 奎真君がいて注目されている。学校としては、普通の公立の工業高校だ。今春と夏、甲子園に出場した東邦をギリギリまで追いつめて注目された。
これに対して、浜松修学舎は前身の浜松女子商から浜松女子、共学化されて芥田学園を経て三年前から現校名となった新鋭校。この秋は敗者復活戦から静岡県西部地区大会を勝ち上がり、県大会で準優勝を果たしての初出場である。中高一貫校でもあるが、中学部はボーイズチームとして登録されているのも特徴である。

 好投手森君に対して、積極的に打っていこうという姿勢を示していた浜松修学舎は初回に、森君を捉えた。
先頭の水江君が左越二塁打で出ると、続く佐藤大君は四球。バントは失敗したが、森田君が右前打して一死満塁。ここで5番近藤君が右前打してまず1点。続く児玉君も右前打して2者を返し、佐藤仁君も右前打でこの回4点が入った。

 さらに、浜松修学舎は2回にも中前打の佐藤大君を失策絡みで帰して追加点。3回にも、二死一二塁から3番辻岡君が中前へはじき返して6点目。試合は、予想外のワンサイド気味の展開になっていった。

 反撃したい豊橋工は、浜松修学舎の小林君を攻略できないでいたのだが、4回二死三塁から、6番岡君の中前へポトリと落とす安打で帰して一矢を報いたものの、結局ここまでだった。
その後も小林君のテンポのいい投球に抑え込まれた。小林君は5、6、7回と3人ずつでピシャッと抑え込んでいた。縦のスライダーのキレ味もよく、力で抑え込んでいくというよりも、巧みにかわしていくという感じだった。


 豊橋工の森君も、投げ込んでいくうちに、本来の投球を取り戻していったという感じだったが、振り返ってみればあまりにも初回の失点が大きすぎた。

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県大会以来の登板となった森君(豊橋工)

 実は、森君は県大会後はほとんどノースロー調整を続けていたという。というのも、県大会での疲れもあってか、肩の痛みもあったのでそれを抑えるという意味もあったようだ。
だから、この日のマウンドは、本格的な投球としては、久々で、試合としては県大会以来のマウンドということになった。初回の失点はそんな間隔があいていたことも多少の要因だったのかもしれない。守備も、いくらかバタついて、失策などが出て結果的に足を引っ張る形になってしまったのも痛かった。

 林泰盛監督は、「東海大会だからと言って、そんな緊張感はなく、普通にやれたとは思います。ただ、やっぱり(森投手は)登板間隔があきすぎていたことはあったのかなとは思います。試合としては、初回がすべてだったと思います。あそこでもっと早くタイムとるとか、そういう配慮も今後は私自身の反省点です」と、初物尽くしだった、東海地区大会を振り返っていた。

 そして、「ここまで来ると、善戦や、いい試合ということだけじゃいけないんですよね。どういう形であれ、勝つということが大事なんだということを改めて思いました。夏までの課題としては、やはり森だけではなくて、もう一人、試合を任せられる投手を育てていくことだと思います」と、先を見据えていた。

 初出場で初戦突破した浜松修学舎の藤原英祐監督は、「相手の投手がいいので、とにかくストレートを狙って早いカウントからセンター返しで狙って行けという指示でした」というものだったが、その結果として上手におっつけて形としては右へもっていったということになり、それが功を奏して初回の4点につながった。
いずれにしても、どちらもそれぞれ部に新しい歴史を一つ刻んだことだけは確かである。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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