八頭vs八戸学院光星
エースの力投に4番が応え、八頭が逆転サヨナラ
【先発し力投を見せる鎌谷 康平(八頭)】
国体ではあるが、鳥取勢にとっては大きな勝利であった。その立役者がエースの鎌谷 康平(3年)である。
今日の投球は甲子園以上の投球だったのではないか。
夏の甲子園では11年ぶりの勝利に貢献したエースの鎌谷。だが当時、腰の故障で、満身創痍の状態で投げていた。しかし現在は腰の痛みも完全に直り、鎌谷は初回から全力投球。三者連続三振に奪う上々の立ち上がりを見せる。
ワインドアップからゆったりと振りかぶり、下半身主導の体重移動から投げ込むストレートは常時120キロ後半~133キロ。しかし、八戸学院光星の打者は押されていた。鎌谷のボールをどう感じているのだろうか。
八戸学院光星3番の森山 大樹(3年)に聞くと
「僕たちは、現役の時と比べるとあまり練習をしていないのですが、もし練習をしていても厄介な投手だと感じました。球速が130キロ前半ですが、予想以上にストレートが走っていて、かなり手元まで来ている感じがしました。なかなか捉えきることができなかった」
鎌谷はストレート、スライダー、カーブを両サイドへ散らし、5回まで無安打無失点の好投を見せていた。
【逆転サヨナラに喜ぶ八頭ナイン】
一方、八戸学院光星の先発・中川優(2年)も好投。135キロ前後の速球、スライダー、カーブ、カットボールを両サイドへ自在に投げ分け、三振の山を築く。
試合は投手戦となった。
均衡を破ったのは八戸学院光星。8回表、投手だったが不調で、野手として練習をしていた佐藤駿(3年)が先制本塁打を放ち、1点を先制する。
何とか反撃したい八頭打線に中川は全く付け入る隙を与えず、8回まで11奪三振無得点。このままでは完封負けも考えられる試合展開だった。
そして迎えた9回裏。
打席に立った1番西原 朋哉(3年)が左中間を破る二塁打で、無死二塁のチャンスを作る。だが2番大基 雄久(2年)の犠打が中川の好フィールディングに阻まれ、西原はアウト。八頭にとって痛いミスだと思った。しかしここで3番中尾 直也(3年)が右前安打を放ち、一死一、二塁とし、再びチャンスメイクをした。
ここで打席に立ったのは4番大久保 諒平(2年)。ここまで大久保は2三振。
「ここまでやられてばっかりで、なんとか取り返したかった」
大久保が振り抜いた打球は前進守備をしていたライトの頭を越える長打に。打球は後ろへ転々と転がり、一塁走者の中尾も生還し、サヨナラ勝ち。エースの力投に、4番が応えた一打となった。
強力打線・八戸学院光星に物おじしない鎌谷の力投。甘い球を見逃さず打ち返した4番大久保の勝負強さ。
会心の勝利を決めた八頭は、2試合で17得点を挙げている明徳義塾と対戦する。
(文=河嶋宗一)