土浦湖北vs水城
土浦湖北が9回に追い上げられながらも、辛くも1点差で逃げ切る
土浦湖北・大関友久君
どんよりとした空模様で、霞ケ浦を渡ってくる風も、上空でかなり舞っているというコンディションだ。守りとしては、いくらか風を気にしなくてはいけないというところだろう。
土浦湖北は初回、そんな風の影響も多少味方につけながら、巧みに水城のエース小林君の立ち上がりを突いた。
初回の土浦湖北は、3番塙君の安打などで2死一二塁から、5番大関将哉君が中前打してまず1点。さらに、続く大関友久君の打球は、風にも乗った形で、右翼手の頭上を破る二塁打となり、二者を帰した。これで3点が入ったのだが、それを水城が追いかけるという展開となった。
土浦湖北は、夏のチームから投げているエースの大関友君が安定しているので、初回の3点リードはかなり優位に試合を運べられる。
この日は、130キロに届くか届かないかくらいだったが、最速では135キロ以上をマークしたこともあるという速球派だ。ただ、夏の疲労もまだ残っている中で、長かった残暑もあってシード決めの新人大会からブロック予選と、疲れが抜けきらなかったというところもあったようだ。
追いかけたい水城は3回、2死走者なしとなったところで、1番前島君以下、石川君、白瀬君と3連打して1点を返した。さらに、5回にも1死後、9番鬼沢君が左前打で出ると、四球と石川君のバントが安打となって満塁。ここで、大関君はイメージ通り内野ゴロを打たせて併殺かと思われたのだが、二塁封殺のみになって、三塁走者が帰って1点差となった。
打線には力があり、白瀬君ら一発のある選手もいる水城だけに、1点差になるとどうなるかわからない展開である。
好火消の土浦湖北・関口君
しかし、取られたら取り返せとばかり、土浦湖北も勝負強かった。
6回の土浦湖北は、先頭の4番関口君が四球で出ると、1死後大関友君が右前打して一三塁。五味君の内野ゴロの間に、三走が帰った。結果的には、この1点が非常に貴重な得点ということになった。
小川幸男監督も試合後、「展開からいっても、6回の得点は大きかったですね。あの場面は、代打も考えたのですが、ラッキーボーイ的なところのある選手なのでそのままいかせました」と、背番号17の五味君起用が、内野ゴロでの得点ではあったのだが、功を奏したということになった。
9回に水城が、無死で6番内桶君が一二塁間を破って出塁し、暴投で二進後死球と、追い上げ体制となった。ここで、小川監督は迷わず三塁から関口君をマウンドに送った。野手投げではあるが、肩の強さもあって、球には威力があるということで、こうした場面でのリリーフも多いという。その期待に応えた関口君は、送球ミスで1点は失ったものの、何とか抑えきって薄氷の1点差勝利を得た。
小川監督は、「8回はたまたま正面だったですけれども、連続でいい当たりをされていたので、9回は最初から関口で行ってもよかったのかなぁ」と、ちょっと反省していた。
それでも、何とかリードを守り切って関東大会進出に手が届きかかったベスト4進出である。
「次は、チャレンジャーというつもりでやれますから、思い切っていきたいと思います」と、先を見据えていた。
(文=手束 仁)