京華商vs都立府中
力投する古木(都立府中)
いくら夏の大会を経験していても、大会後、新チームを結成して最初の公式戦となると、勝手が違う。京華商の尾崎孝典監督は、「経験者が多いはずなのに、硬かった」と、試合後語った。エースの横島辰磨、4番の川上智也ら、チームの主力は、夏を経験している。
一方の都立府中は夏を17人で戦い、3年生7人が抜けると、登録メンバーはわずか10人になった。身長163センチのエース・古木秀太朗をはじめとし、小柄な選手が多く、劣勢は否めなかった。
1回裏京華商は、夏のメンバーでもある1番西勝優介が四球で出塁すると、二盗、三盗を立て続けに決め、2番東恩納吉希の三ゴロの間に、西勝が生還し、あっさり1点を先取した。ここまでは、健大高崎の「機動破壊」のような足攻めで、京華商の一方的展開も予想された。
それでも都立府中は、エース・古木が小さな体を目一杯使った投球で粘り、打線も、非力な感じはあるものの、必死に食らいついた。
2回表には5番内藤優太が左前安打で出塁すると、続く嵯峨芳太郎のバントは野選に、次の西智行のバントは内野安打になり無死満塁。
続く8番古木は中前安打を打ち、内藤が生還。しかし、二塁走者の嵯峨も本塁を狙ったが、憤死した。すると、京華商の横島は、続く2人をスライダーなどで連続三振に仕留め、ピンチを1点で切り抜けた。
バントの構えでバッテリーをゆさぶる東恩納(京華商)
バント攻撃が功を奏して同点に追いついた府中であるが、バント攻撃なら、京華商に一日の長があった。京華商は3回裏、9番横島が中前安打で出塁すると、1番西勝、2番東恩納が続けてバント。これがいずれも内野安打になった。特に2番東恩納はどの打席も、バントの構えで府中バッテリーを揺さぶった。一死後、4番川上がレフトオーバーの二塁打を放ち、2者生還。2点差をつけた。
それでも都立府中バッテリーは、追加点を防いできたが、7回裏先頭の横島を四球で出すと、3回と同じように西勝、東恩納の連続バントヒットで満塁。そこで3番山下礼の左犠飛で1点。さらに5番榎本直宏の中前適時打でダメ押しとなる1点を追加し、結局、5-1で京華商が勝利した。次の相手は、都立の強豪・雪谷。1度試合をしたことで硬さが取れ、どこまで本領を発揮できるかが、カギとなる。
敗れた都立府中は、選手10人の中で、現段階での実力は出した。「ともかく、1年生を中心に試合を経験できたことが大きい。守りからしっかりやっていきたい」と、井上広大監督は語る。京華商のバントがうまかったのは確かだが、防げる安打もあった。一生懸命さは伝わってくるチームだけに、今後の成長を期待したい。
(文=大島裕史)