城北vs東海大望洋
やはり侮れない熊本城北!雨中の戦いを制し、ベスト16進出!
降り続く雨により内野がぬかるみ、芝が水を吸って最悪のコンディションの甲子園。両チームには良いグラウンドコンディションでやってほしい思いはあったが、これも野球の一部だ。雨と戦いながら試合をやらなければならない。
2回裏、さらに雨が強くなり、ボールが転がりにくく、足元は滑りやすくて守りにくい。
熊本城北は先頭の菓 凜太郎(3年)が右前安打で出塁。さらに菓が盗塁を仕掛け、無死二塁のチャンスを作ると、6番小山 将朋(3年)がプッシュバント。打球は投手の頭を越える。
二塁手は一塁のカバーに入っており、誰も捕りに行ず内野安打に。無死一、三塁のチャンスを作ると、7番与座 嵩平(2年)が振り抜いた打球は強く弾んだ一ゴロ。三塁走者はゴロゴーを切っており、また一塁手が前進して捕りにいっていたので、間に合わない。一塁アウトと思いきや、カバーに入っておらず内野安打となった。
この攻撃で、どちらが雨の戦いに慣れていたかがはっきりした。
熊本城北は雨のグラウンドを見て、ボールを転がす攻撃。すると、東海大望洋は連係が取れず、ミスから点を許す。
綺麗なタイムリーではなく、まさに泥臭い点の取り方である。
熊本城北は3回表、峯尾 京吾の適時打、石保秀大(2年)の適時打で1対3と勝ち越しを許すも、5回裏に安達 勇輝(3年)が左翼線を抜ける適時二塁打を放ち、二死三塁とし、3番山隈 拓巳(3年)の左前適時打で2対3と1点差に詰め寄る。
お互いなかなか追加点を奪えずにいたが、8回表、熊本城北は一死二塁の場面でエース諸富 将士(3年)が登板。
まず宇津木 総(3年)を三ゴロに打ち取ると、そして9番原田 泰成(3年)をストレートで追い込んで、最後はスライダーで空振り三振。
ピンチを切り抜け、チームを勢いに乗せる奪三振だった。
そして8回裏、熊本城北は4番楢原 勇海(3年)の左前安打、5番菓の犠打で一死二塁とし、6番小山の四球、7番与座の左前安打で一死満塁。この場面で、8番諸富は1ボールからスクイズを敢行。見事に一塁前へ転がし成功させた。
ついに熊本城北が同点に追いついた。
更に、9番辻上 明将(3年)が1ボールから高めの直球を捉え、左中間を破る二塁打。2点を勝ち越し、5対3とし、この試合初めてリードする。
9回表、諸富が東海大望洋打線を封じ、見事夏勝利を決めた。
勝因を挙げれば、2番手の大西 兼人(3年)が4回と三分の1を投げて、無失点に抑える好投を見せたことだろう。
東海大望洋はさらに追加点を取って、試合の主導権を握りたいところであったが、それができなかった。
徐々に熊本城北は逆転できる雰囲気になったのではないだろうか。そして8回表、エースの諸富の好投で、ピンチを切り抜け、その裏に勝負を仕掛けた見事な戦いであった。
熊本城北は熊本大会から粘り強い戦いで勝ち進んでいる。
多良木・149キロ右腕・善 武士から7得点。さらに準々決勝の九州学院戦ではサヨナラ勝ち、準決勝では九州大会出場の熊本工に8対2と圧勝。決勝の文徳戦では2対1と接戦を制し優勝。そして甲子園では激戦の千葉を勝ち抜いた東海大望洋に対して、この逆転勝利。
内外野の堅い守備に加え、四球、犠打を絡めながら泥臭く点を取りに行く攻撃スタイルが光り、強豪を撃破した。
そしてエースの諸富も、熊本大会と比べると調子を上げており、最速140キロを計測。まだ左腕のグラブを使えず、持てる力を活かし来ていないところは見られるが、今日の好投が、次の戦いにつながるだろう。
今年の熊本城北。やはり侮れない。
(文:河嶋宗一)
【野球部訪問:第112回 東海大学付属望洋高等学校(千葉)】