大垣日大vs藤代
大垣日大が最大8点差を逆転!逆転成功の要因とは?
大垣日大が最大8点差を大逆転勝利した一戦。
8点取れば、大方、試合に決着がつくと予想出来るだろう。だが高校野球は必ずしもセーフティリードと言えないのが、面白さであり怖さである。
試合を振り返ると、激しい争いが想像できつつも、大垣日大が勝てる伏線はいくつもあった。
1回表、藤代は大垣日大の先発・高田 航生(3年)の立ち上がりを突いて、一死満塁から5番小林 慧太(3年)の適時内野安打で1点を先制。6番竹内 悠(3年)の押し出し死球で2点目。7番浜渡 遼(3年)は相手の敵失を誘い、3点目。8番小平 賢二郎(3年)の右前適時打で2点を追加し、5対0と点差を広げる。
そして二死一、二塁から第1打席で安打を放っている古谷 勇斗(3年)がレフトオーバーのランニングホームランを放ち、一気に8対0と点差を広げる。
まず藤代が試合の主導権を握った。
このまま試合を優位に進めていきたいところだが、大垣日大が反撃ののろしを上げる。
1回裏、1番種田 真大(3年)が中前安打を放つと、一死一、二塁の場面で、4番滝野 要(3年)の右前適時打で1点。さらに一死一、三塁から5番野崎 文志(3年)の二ゴロで二塁封殺の間に1点を返し、8対2。二死一塁となって、6番金田凱(3年)が四球で二死一、二塁の場面。7番大久保 隆志(3年)が外角直球を捉え、レフトの頭を越える二塁打を放ち二者生還、8対4と藤代を追撃する。
1回裏の得点は大垣日大にとっては大きな4点だった。このまま無得点ならば完全に藤代に流れが傾いていたかもしれない。1点を返しただけではなく、一気に4点を返して、まだまだ取り返せる雰囲気になっていた。
5回表、藤代の浜渡の2点本塁打で10対4と差を広げられたが、その裏、大垣日大は4番滝野の犠飛で1点を返す。
そして迎えた6回裏、ここがこの試合のポイントとなる。
一死一、二塁のピンチを招いたところで、藤代は投手交代。ここまで力投した竹内 悠(3年)はレフトへ、そして2番手に山崎 誠(2年)がマウンドへ上がった。山崎は茨城大会で15.1回を投げ3失点と安定した投球を見せている投手である。
しかし、ランナーを置いた場面での甲子園初登板。ここでの登板はやはり酷だったか、山崎は腕が振れず、ボール先行の投球。その後、バッテリーミス2つで、1点を献上し、大垣日大が10対6と4点差に追い上げる。
再び竹内が登板して6回裏はこの1点で抑えるが、茨城大会で好投していた山崎が降板したのは痛かった。
竹内は立ち上がりに比べ制球の精度も落ち、大垣日大打線も竹内に適応し始めていた。茨城大会では竹内-山崎誠の継投リレーで、勝ち上がってきただけに、そのパターンが崩されたのは藤代にとって痛手となった。
逆に言えば大垣日大は追い上げるチャンス。
7回裏、二死二、三塁から7番大久保が中超えの適時三塁打を放ち、10対8とさらに追い上げ、古谷 大至(3年)の適時打で10対9と肉薄する。1点差で藤代がリードしているとはいえ、この追い上げに大観衆は大垣日大を後押ししている雰囲気があった。
そして8回裏、先頭の種田が三塁打を放ち、無死三塁。2番湯口 郁実(1年)が四球で歩いて、無死一、三塁となり、3番内藤 大貴(3年)の併殺崩れの間に同点。ついに試合を振り出しに戻した。
二死一塁の場面で、5番野崎は高めに浮いたスライダーを見逃さなかった。振り抜いた打球はライトスタンドへ飛び込む2ラン本塁打となり、12対10と勝ち越しに成功した。
9回表、二番手の滝野がしのいで、大垣日大が8点差を逆転し、2回戦進出を決めた。
まず大垣日大は8点取られても、4点を追い上げたことが大きかった。さらに5回表に、10点目を取られたとはいえ、その後は2番手の滝野が藤代打線を抑え、追加点を与えなかったことも大きかった。このまま点を取られ続ければ、大垣日大の反撃の意欲も削がれ、藤代の大勝に終わっていたに違いない。
ポイントとなる場面で抑え、そしてチャンスの場面で、しっかりと追い上げに成功した大垣日大。
とはいえ、8点差を逆転するのは滅多にあるものではない。改めて大垣日大ナインの底力を実感させるゲームであった。
今日見せた底力を今後の試合でも発揮できるか注目をしていきたい。
(文:河嶋 宗一)