東邦vs日南学園
圧倒的な打撃力!東邦が20安打11得点の猛攻で快勝!
今年の東邦は1年生右腕・藤嶋 健人が注目されているが、忘れてはならないのは打撃力である。
東邦は5回戦で、140キロ台の速球、キレのある縦横のスライダーを武器にする田中 空良(豊川)から5得点、決勝戦では左腕から130キロ台後半を投げ込む大内 公貴(栄徳)から4得点と、愛知の好投手を打ち崩して甲子園に乗り込んでいる。
対する日南学園は宮崎大会決勝戦で4安打完封した左腕・横川 楓薫(3年)、右サイドから140キロ台を計測する柳 悠聖(3年)と2人の好投手がいる。
この試合の先発は横川だった。横川は135キロ前後の直球に、スライダー、カーブをテンポ良く投げ分ける好左腕。これには東邦も打ち崩すのは難しいと予想されたが、その予想を大きく上回る速攻劇を見せた。
1回裏、東邦1番・鈴木 大輔(3年)は中前へ安打を放つと、センターが処理でもたついているのを見て、一気に二塁を突く見事な走塁を見せた。その後、一死二塁から3番児玉 大樹(3年)の適時打で1点を先制した。
東邦は2回裏にも3連打で無死満塁のチャンスを作る。
ここで日南学園は投手交代、2番手の柳を投入する。柳は体を深く沈み込ませ、低い腕の位置から常時140キロ(最速143キロ)の直球で押す気迫の投球。8番藤嶋 健人(1年)を直球で空振り三振に打ち取り一死満塁とするも、9番松原 正成(3年)が日南学園バッテリーの隙を突くように、スクイズ。まさに強打・小技を織り交ぜた攻撃で、1点を追加した。
さらに3回裏、二死一、二塁から6番工藤 駿(3年)の中前適時打で3対0。7番溝口 慶周(2年)が左翼線適時二塁打で、さらに1点を追加。二死満塁となったところで、9番松原の三塁強襲安打で、5対0と大きく差を広げた。
だが5回表、日南学園は一死二、三塁から3番田久見 大地(3年)の適時打で2点を返し、さらに萩原 聖翔(3年)の左中間を破る二塁打で、5対3と追い上げる。
しかし東邦は、点を取られても攻撃の手を緩めることは無かった。
二死二塁から9番松原が右横線へ適時二塁打で3打席連続打点。勝負強いだけではなく、ファールで粘り球数を投げさせることが出来る打者で、この打席は9球目で安打を放った。
何としてでも打者を抑えようと全力投球を続けていた柳に松原のファール打ちはダメージとなった。
立ち上がり見せていた140キロ台のストレートは130キロ台に落ち込み、続く1番鈴木は甘く入った直球を見逃さず、ライトの頭を越える三塁打を放ち、7対3。さらに二死一、三塁となって、3番児玉の適時打で8対3と点差を広げた。
東邦の打線の勢いは止まらず、6回裏には愛知大会で2本塁打を放った溝口の本塁打などで2点を追加し、10対3。その後も1点を追加し、終わってみれば、20安打11得点の猛攻で、日南学園投手陣を圧倒した。
投げては1年生右腕の藤嶋が140キロ台の直球、スライダー、カーブをテンポ良く投げ分ける投球で、8回3失点の好投。
そして9回表からは背番号1を付けた大井 友登(3年)が最速143キロの直球、曲がりの大きいスライダーのコンビネーションで三者凡退に打ち取り、東邦が2回戦進出を果たした。
全国レベルの強打を披露した東邦。日南学園の2人の投手も好投手と挙げていい投手なのだが、それを上回る豪快な攻撃力であった。
東邦の各打者は迷いがない打撃で、どの球を打つのかをしっかりと絞って自分達のスイングをしている。
下位打線でもしっかりと打てる打者が多く、20安打中、10安打が6番から9番の打者が記録。6番工藤、7番溝口が4安打ずつと相手投手からすれば、厄介で常に追い込まれた状態で投げなければならない恐怖の打線である。
そして守備でも、この試合は無失策と内外野で堅い守備を披露。まさに「強い!」と思わせる盤石な試合運びであった。
勝利した東邦は、2回戦で好投手・飯塚 悟史(3年)擁する日本文理と大会8日目の第2試合で対戦。
2本塁打を放った日本文理打線も強力で、ハイレベルな戦いが予想されそうだ。
(文:河嶋 宗一)