横浜創学館vs百合丘

　前日の雷雨による落雷で、スコアボードが故障するというアクシデントで、チーム名や選手名、それにボールカウントも表示できないという状況で、辛うじて得点表示と打順ランプだけは機能しているという状況での試合となった。それでも、大きなアクシデントもなく試合が成立したのはよかった。

　百合丘の先発は左腕で緩急の使い分けの上手い齋藤俊輝君、横浜創学館はストレートのキレがよく最速145キロを表示したこともあるという海老塚耕作君だ。
ともに好投手であり、それほど得点ははいらない試合になるのではないかと思われたが、スコア的には予想通りのものとなった。

　先制点は初回の横浜創学館。
簡単に2死となった後、北村航太君がファウルなどでカウント2ボール2ストライクとしたところの5球目、齋藤君は少し抜いた感じのボールを投じたのだが、それを巧みに捉えた北村君の打球はそのまま左翼スタンドに入った。

　さらに、3回にも横浜創学館は9番浅見勇太郎君の安打から好機を作って、2死二塁からまたも北村君が今度は左前へ運んで二塁走者が帰って2点目。なおも、四球を挟んで5番住吉君が中前へタイムリー打を放って序盤で横浜創学館が3点のリードを保った。

　もうこれ以上はなされたくない百合丘だったが、最大のチャンスが4回に訪れた。
先頭の4番松元君が巧みなバント安打で出ると、続く赤節君は死球で一二塁。さらに、飯野君のバントは海老塚君が一塁へ暴投してしまい無死満塁となる。

　横浜創学館の森田誠一監督は、日頃の練習でもマウンド周りのボールの処理は最も大事な練習の一つとしているだけに、このミスは厭な感じだったのではないだろうか。横浜創学館としては最大のピンチとなった。

　逆に貰ったチャンスの百合丘だったが、大胆に攻めたいところだったのかもしれないが、小池健一監督（登録は責任教師）は、ちょっとタイミングが合っていないと判断したのか、神戸君にスクイズの指示だったのだが、空振りで三塁走者が刺された。
結局、百合丘は最大の同点機を0という形で終えてしまい、これが試合の流れにも大きな影響を及ぼした。

　その後は、守り合いのような展開となって、百合丘は6回途中から左サイドの廣瀬君にスイッチしたが、廣瀬君もその後を巧みにコースを投げ分けて、トリッキーさを示していた。

　こうして、タイプは異なるが打たせて取っていく二人の投手がいる百合丘、それだけに守りのよさも光っていた。
逆シングルで好捕していた三塁手の新井君や、捕ってから送球への動作の早い遊撃手の赤節君の動きもさることながら、投手の配球に応じて守備位置も工夫していた。こうしたあたりに、日頃の練習の成果があるのだろう。

　結果的に、試合には敗れてしまったものの、公立校として私学強豪校に対して、五分に戦えたのはこうした細かな工夫と努力があったからだという要素も見逃してはいけない。

　横浜創学館は、後半の追加点が得られなかったことは反省点となるのかもしれないが、海老塚君が7イニング、福田君か2イニングを完璧にリリーフして完封。投手陣が万全なところを示してくれた。

（文＝手束仁）