佐野日大vs桐生第一
佐野日大がタイブレークで一挙9得点!桐生第一を破りベスト4!
東宮(桐生第一)
佐野日大vs桐生第一。昨秋の関東大会準決勝同士の対決だ。
試合は何度も試合が動く、シーソーゲームとなった。桐生第一はエースの山田 知輝(2年)ではなく、常時130キロ台を計測する左腕・東宮 万夫(3年)、佐野日大は稲葉 恒成(3年)で始まったこの試合。
2回裏、桐生第一は一死二、三塁から8番上野 恭凪(3年)の内野ゴロお間に1点を先制する。4回表、佐野日大は3番小泉 奎太(3年)の2ランで逆転に成功するが、その裏、桐生第一は二死二塁から8番上野の中前適時打で同点。バッテリーミスも絡んで、二死二塁となって、9番東宮が直球を捉え、ライトの頭を越える二塁打を放ち、3対2と逆転に成功。
だが6回表、佐野日大は二死二塁から4番稲葉が右前適時打を放ち、3対3の同点に追いついた。7回裏から佐野日大は先発の稲葉に代えて、エース田嶋 大樹(3年)が登板する。18日の聖望学園戦が公式戦、練習試合を通じても初登板で、初戦は荒れ荒れな投球だった。1試合投げたことで、リリースも安定し、地に足が付いた投球だった。立ち上がりから常時140キロ台を連発。
また手元で大きく切れるスライダーのキレ味も絶品で、まさに別格とも言っていい投球だった。田嶋の特徴としては、肩肘が柔らかく、腕を鋭く振れるしなやかさを持っていることだ。秋まで線が細く、力強さに欠けていた印象を受けたが、この冬の間に上半身と下半身をしっかりと鍛えたことで、3月と比べると、随分逞しい体つきになった。
しなやかな腕の振りに力強さが加わったことで常時140キロ台を連発するエンジンを兼ね備えたといっていいだろう。7回裏は三者凡退に締めてさすがと思わせる投球を見せる。
しかし8回裏。1点を勝ち越し、守り抜きたい佐野日大だったが、一死から守備のミスで出塁を許し、二死二塁となって、7番久保田の中前安打で、二死一、三塁となって、8番上野。田嶋は全力投球。上野は田嶋の144キロのストレートを振り遅れながらも三塁線を横を抜ける安打となり、同点。さらに佐野日大の外野手のもたつきもあり、一塁走者も生還し、5対4と逆転に成功する。
田嶋(佐野日大)
佐野日大は二死一、二塁と追い込まれたが、3番小泉が内角のスライダーを流し返し、左前適時打を放ち、5対5の同点に追いつく。
試合は決着がつかず、延長戦へ。今大会からタイブレークが適用され、一死満塁でスタート。打順はチームが選択できる。この試合が初の適用となった。グラウンド整備をやっている間に選手たちはベンチで待機し、両監督が出てきて打順選択を行い、延長に入った。
佐野日大は1番竹村からだった。桐生第一は満を持してエースの山田 知輝(2年)が登板するが、ここから佐野日大の連打が始まった。まず竹村が中前適時打を放ち、2点を入れて、7対5。さらに2番長沢が捉えた打球はライトの頭を越えて二者生還し、9対5。その後も打線の勢いは止まらず、3番小泉の左前適時打で、10対5にすると、連打は止まらず、10回表は6安打を浴びさせ、9得点を入れて14対5と突き放す。
そして10回裏、田嶋は3番の柳谷 参助(2年)を2ストライクから143キロのストレートで空振り三振。4番山田に対しての投球が凄まじい一言で、息をのむ投球だった。田嶋は全ての力を振り絞り、投げ込んでいき、1球目は146キロのストレートで、ストライク。2球目はこの日最速の147キロのストレートで2ストライク。山田は直球についていくのが精いっぱい。捉えた打球は遊ゴロとなり、試合終了。ゾクゾクするストレートで、もっと見てみたいと思わせる投球だった。
9回まで5対5と見応えのあるゲームだったが、一死満塁からのタイブレークはやはり表攻めのチームが有利である。追う立場の方が、意識してしまう。桐生第一としては山田を投入せず、試合を決めたいところだったが、前日の疲れが残る山田はストレートのキレ、コントロールがいつもほどではなく、連打を浴びたことで、自分の間合いで投げることができないまま9失点を喫し、タイブレークの怖さを実感したゲームだった。
また土壇場から追いついた佐野日大の勢いは延長になっても続き、その勢いのまま決着がついた。佐野日大は田嶋が大きく注目されているが、9回二死から同点に追いついたり、タイブレークから一気に打線がつながって9得点。底力のあるチームということを示したゲームだった。
(文=河嶋 宗一)