西条vs帝京第五
西条「龍谷大平安スタイル」で秋春連続愛媛県制覇!
西条先発の髙橋慶臣(2年)
4日連続の4連戦目。春季大会とはいえコンディション調整が難しい中で迎えた愛媛県大会決勝戦は、センバツ中盤戦を思わせる激しい打撃戦となる。西条は自己最速となる138キロを計時したゆえか、明らかに力みが見える帝京第五先発・中野 翔太(3年)に対し、4回までに8安打を浴びせ7四死球も選んで8得点。終わってみれば東予地区予選から6試合全て10得点以上と猛打を見せ付けた。
帝京第五も抵抗は見せた。西条先発左腕・髙橋 慶臣(2年)の最速131キロストレートと、外角へのチェンジアップ・スライダーに苦しめられながらも2回表に押し出しと1番・松本 凌太遊撃手(3年)の左前適時打で2点。
8回には3安打4四死球を集め5得点。後続はリリーフした松田 蓮(3年)に絶たれ、33年ぶり2度目の春季愛媛県大会優勝・四国大会出場は叶わなかったが、「昨秋愛媛県大会後、腰椎分離症になって3月まで練習できなかった」(楠本 雄亮監督)左腕・西浦 大生(3年)も復帰予定の夏は、第3シートから初の甲子園出場も十分期待できそうだ。
それにしても準決勝でも触れたように西条の選手層は厚い。投手陣は松田・髙橋・濱本 塁歩(2年)、黒河 史晃(2年)の4投手がそれぞれ力を発揮。第2シード以上が確定した夏の愛媛県大会にはこれに島田 真希(3年)が加わることが確実だ。
打線も今大会4試合を通じ、135打数57安打・打率.422。2回戦・八幡浜戦での2打席連続アーチ(高校通算5号)含む18打数12安打12打点と暴れまわった1番・矢野 義記遊撃手はじめ、各打者のスイングは「送りバントよりも振ることで打開する」(菅 哲也監督)春のチームテーマを体現するものである。
複数投手での継投を可能にした上で、爆発的な打力で他を圧倒する。これはセンバツを初制覇した龍谷大平安のスタイルだ。その質問に対しては「そんなことは…」と謙遜の姿勢を崩さなかった菅監督。が、最後には昨秋県大会では打力で圧倒しながら、センバツ出場を先んじられた今治西(2年連続14回目の春季四国大会出場が決定済)とのチャレンジマッチ(4月12日10時・[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]でプレーボール)へ向けて牙を剥いた。
「同級生(昭和46年生まれ)の大野 康哉監督には負けたくないです」
「少ないチャンスで得点し、守り抜く」今治西と真逆のスタイルだからこそ、あえて口にした想い。それは西条を全国で勝ち抜くためのスタイルへ変貌させる過程として必須と考えている指揮官の必勝宣言でもある。
(文=寺下友徳)