徳島北vs阿南工
徳島北「台風の目」のその先へ
島 一輝監督の下、「足」を主体としたチームスタイルに定評がある徳島北。島監督が阿波から転任直後の2009年夏に初出場して以来、甲子園からは遠ざかっているものの、常に「台風の目」として県内他チームに脅威を与えてきた。
徳島北先発・尾﨑 修志(2年)
そんな徳島北がこの春、少しスタイルを変えつつある。まずは捕手。2月にこれまでの正捕手が退部したため、春季大会ではこれまで外野手だった3番打者の濱口 建(3年)が「自ら立候補して」(島監督)急遽マスクを被っている。
ただ、これがかえってチームに新しい風を与えている。50メートル走6秒1の俊敏さを活かしたインサイドワークは、2年生右腕・尾﨑 修志の投球にテンポをもたらしている。また、外野手としてやや手詰まり感があった濱口にもいい刺激を与えている印象を受ける。
また、今大会で島監督は5番・左翼手に2年生左打者の中﨑 正崇を起用。伝統的に小兵・細身の選手が多い徳島北にあって異色ともいえる180センチ95キロの巨漢が中軸を張ることにより、50メートル走6秒3、ベースランニングは絶品の2番・村井 悠一郎二塁手(3年・主将)。に濱口、50メートル走6秒2の石橋 優一郎中堅手(3年)と続く2~4番、50メートル走6秒3の7番・横石 航也一塁手(3年)といった俊足打線のコントラストがより出るようになった。
正捕手・正左翼手の負傷により、背番号9の天野 聖哉主将(3年)を捕手に起用せざるをえなかった手負いの阿南工が相手とはいえ、10安打うち3三塁打、4盗塁で圧勝を飾った徳島北。「台風の目」の、その先への準備は着々と整いつつある。
(文=寺下友徳)