明星vs東京学園
投打の主役が活躍を見せ、明星が代表決定戦へ進出！
満塁本塁打を放った鈴木（明星）
第1ブロックの明星対東京学園の一戦。
両チームの先発投手の立ち上がりを見ると、試合は接戦になっていくと思われた。
明星の先発はエース・古谷 歩夢（右/右 173センチ63キロ）。
右オーバーハンドから125キロ～130キロ半ばは出ていそうなストレート、縦横2種類のスライダーを織り交ぜ、勝負所では全体重を乗せて、体が一塁側へ流れるようなフィニッシュで、ウエートが乗ったストレートを投げ込む。コメントを聞くと、しっかりと考えながら意思を持って投げている投手というのが分かった。
「東京学園は前回の試合で、4、5、6番が本塁打を打っているので、高めに投げないように気を付けました。今日はコントロールが甘かったのですが、ストレートには勢いがありました。一番勢いのあるボールを投げられるコースは外角なので、外角を軸に投球を組み立てました」
立ち上がりは三者凡退で切り抜ける。
一方、東京学園の先発・久富 勇人（左/左 173センチ63キロ）は左腕から勢いある直球を投げ込む左の本格派。
投球フォームを見ると松井 裕樹（桐光学園～東北楽天ゴールデンイーグルス）を意識しているように見える。
ノーワインドアップからゆったりと右足を上げていき、真っ向から振り下ろすフォームは松井と似ている。体全体をうまく使えることができており、ストレートは目測で130キロ前後だが回転数が高く、またストレートと同じ腕の振りから投げ込む縦スライダーのキレも良い。
ただ制球が乱れ、高めに浮くのが気になった。
その久富の立ち上がり。一死後、連続四球でランナーを一、二塁にためる。そして明星の4番・鈴木 雄斗（右/右 175センチ60キロ）を迎えた。鈴木は久富の高めに入った直球を逃さず、捉えた打球はレフトの頭を超える二塁打。一気に二者生還する。
左腕からキレのあるストレートを投げ込む久富（東京学園）
先制打を打った鈴木は、
「相手投手を意識することなく、とにかく来た球に対し、自分のスイングで打つことを心掛けています。今日はそれができました」
と自身の打撃内容を振り返った。
鈴木の打撃の特長は構えが良いこと。腰が据わって、両目で投手を見据えることが出来て、窮屈さがない。タイミングの取り方がうまく、しっかりとボールを捉えることができる。トップを大きく取って、フォローが大きく取れたスイングから放たれる打球は鋭かった。
試合は明星打線は直球が高めに浮く傾向にある久富の投球パターンを見逃さず、3回裏に7番古谷の適時打、5回裏には6番宮寺の適時打で5回まで4得点をあげる。ここで久富は降板。
そして6回裏。今度は二死満塁の場面で、4番鈴木に回ってきた。鈴木は甘く入った直球を逃さなない。振り抜き、打球はレフトスタンドへ消えた。練習試合、公式戦を通じて初本塁打は満塁本塁打。これでスコアは8対1。点差を大きく広げ試合を決定づける一発となった。鈴木はもともと捕手。打撃面が好調さが認められ、4番ファーストを奪取。それが結果として現れた。
その後、古谷は7回に1番坂上の適時打で2点を失うも、リードを守りきり、9対3で勝利。代表決定戦に進出した。
完投勝利を挙げた古谷は、
「今日はストレートのコントロールが甘かったのが反省点です。次の試合ではコントロールに気を付けて、もっとインコースの割合を増やし、幅広く投球をしたい」
鈴木は、
「先制打、本塁打を打てたのは良かったですが、それ以外の打席で凡退したところがまだまだだと思っています」
と反省を口にした。
エースと4番の活躍により、決定戦へ進出した明星。
決定戦は拓大一をコールドで破った都立府中東と対戦する。
（文＝河嶋 宗一）
