試合レポート

報徳学園vs関大北陽

2013.10.27

報徳学園vs関大北陽 | 高校野球ドットコム

5回裏関大北陽 4番岸本の一打で試合を振り出しに戻す

粘りの攻撃!接戦制した報徳学園

 「大阪の3つと京都の2つは強いぞ」
近畿大会の抽選に向かう報徳学園のキャプテン・福原に、永田監督はそう声をかけた。しかし、「すいません」という言葉と共に帰ってきたのはPL学園福知山成美関大北陽と当たる最激戦ブロックの抽選結果だった。

 初戦の相手・関大北陽の打線を警戒しながらも、まず試合を動かしたのは部員全員が坊主にして臨んだ報徳学園だった。
 2回、二死から7番・土谷が右中間へヒットを放つと好走塁で一気に二塁に到達。続く8番・三品がセンター前にタイムリーヒットを放ち1点を先制。
 その裏には3つのデッドボールを与えてしまい一死満塁のピンチを招くがショートゴロの併殺に打ち取り無失点で切り抜ける。
 すると3回は、打順良く1番からの攻撃。比嘉がショート強襲の内野安打で出塁すると2番・大畑がきっちり送って一死二塁。3番・石垣の右中間を深々と破るタイムリースリーベースヒットで2点目を奪うと4番・岸田の犠牲フライでさらに加点。上位打線がきっちり仕事を果たしリードを3点に広げた。

 

報徳学園ペースで試合が進む中、関大北陽は5回、初めて報徳学園の攻撃を3人で終わらせる。
 良い流れのまま裏の攻撃で先頭の8番・植村がヒットで出塁。9番・土屋が送りバントを成功させランナーを得点圏に進める。
 その後、ヒットとフォアボールで満塁としクリーンアップに打順が回る。ここで中村―岸田の報徳学園バッテリーはより丁寧な配球で勝負する。
 関大北陽の3番・井本に対してはスライダーでカウントを稼ぎ、最後はアウトローいっぱいにストレートを投げ込み見逃しの三振。アウトカウントを1つ増やした。

 

4番・岸本に対しては外のボール球から入る。次に選択したインコースのストレートで狙い通り詰まらせることに成功するが、打球は二塁ベース後方に落ちるセンター前のタイムリーヒット。打球を処理したセンター・大畑はホームを狙った二走・城尾ではなく、三塁を狙った一走・井口を刺そうと三塁へ送球。タイミング的にはアウトで、城尾の生還前に成立していれば2点目は防げたがこれが暴投となってしまい、井口の生還まで許し一気に同点に。
 さらに5番・高好のライト線へのタイムリーツーベースヒットで勝ち越しに成功した。何とか1点を取って終盤勝負へという思惑で始まった回に逆転。リードして前半を終える。

 

前半戦は、内容では報徳学園が押しながら関大北陽がワンチャンスで試合をひっくり返した。そして7回、試合の流れを決定付けかねない次の1点をめぐって、報徳学園・永田監督、関大北陽・新納監督が火花を散らす。


報徳学園vs関大北陽 | 高校野球ドットコム

ウイニングショットを自らつかみガッツポーズの岸田(報徳学園)

 1点を追う報徳学園は先頭の中村がフォアボールで出塁。
 すると永田監督はここまで好投を続けていた中村に代走・石濱を送る。
「勝負賭けようと思い切って代えました」さらにバントの構えを見せていた比嘉のカウントが2ボールになると一転、エンドランに切り替える。

 打球はバントシフトで広く開いた三遊間を抜け、レフト前へ。大畑が送りバントを決め、同点のランナーを三塁に、逆転のランナーを二塁に置いてクリーンアップに打順が回る。

 石垣の当たりは浅いセンターフライだったが、三走・石濱はものともせずタッチアップで生還。永田監督の勝負手が当たり、同点に追いついた。

 一打勝ち越しのチャンスに特大の場外ファールを打った岸田はフォアボールで歩き二死一、二塁。関大北陽はこの場面で先発・内川をファーストに回し、妻鹿をマウンドに送る。

 ところが、妻鹿が5番・普久山にフォアボールを与え、満塁とすると内川を再びマウンドに戻す。

「内川がずっと気負っていたのでリフレッシュも兼ねて。(妻鹿は)1人だけと決めていた」と試合後、新納監督は継投の意図を説明してくれた。監督の期待に応えたい内川だったが連続押し出しで2点の勝ち越しを許してしまう。8回にも岸田に2点タイムリーツーベースヒットを浴びリードを広げられてしまう。

 

4点を追う関大北陽は最終回、最後の意地を見せる。
 二死二塁から井口のセンター前ヒットで1点を返すと、3番・井本もレフト前ヒットでつなぐ。3点差となりランナーが2人いる状況で4番・岸本が打席へ。

 一発出れば同点という期待が高まる中、岸本も井本に続いて三遊間を割る。満塁となったところで報徳学園・永田監督は「最後は根性あるやつと思っていた。迷いは無かった」とキャッチャー・岸田をマウンドへ。岸田は、タイムリーヒットを1本浴びたが後続を抑え逃げ切りに成功。

「このチームのしつこさを最後に出してくれた。負けたのは残念ですけど、目指して来たことは出来たかな」(関大北陽・新納監督)
関大北陽はすごい打線でしたね。苦しかった。(リードが)4点あってもプレッシャーありました。二死でもいやな感じでした」(報徳学園・永田監督)
 見所の多かった接戦を制し報徳学園がベスト8へ勝ち進んだ。

(文・写真=小中翔太、写真=中谷明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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