近大泉州vs太成学院大高
苦いマウンドとなった島原達也(太成学院)
注目左腕・苦い経験
太成学院大高は、背番号10の島原達也(2年)が先発。
同校の先輩である今村信貴(現・巨人)に憧れて入学した左腕だ。186センチ77キロの体格から最速140キロを超える直球は、今村クラスの素質を感じさせる。
しかしこの日は苦いマウンドとなった。
立ち上がり、近大泉州の1番岡本一真(2年)にセンター前へ運ばれると、二死ととったものの、岡本に二盗、三盗と決められ、顔色が変わった。
その後の打者に対して、思ったようにストライクを投げられない。二死三塁で、あとアウト1つを取ればよいという状況から四死球を連発してしまう。気がつけば、五者連続で四死球を与えてしまい、全て押し出しで3点を失った。
「気持ちの余裕をなくしてしまった」と、ここでマウンド降りた島原。
一昨日のシート打撃で登板した際には調子が良かったそうだが、いざ公式戦のマウンドに立つと本来のピッチングができなくなっていた。
「春の大会でも出た課題でした」と悔しそうに話した島原。この日指揮を執った木田洋介部長も、「彼は緊張する子」と分析する。メンタル面の成長が冬場の大きな宿題となった。
試合はこの後、味方守備のミスもあって1回で5点を奪われた太成学院大高。
二番手でマウンドに上がったエースナンバーの青山翼(2年)が試合を立て直し、中盤に一度は逆転したが、終盤に力尽きた。
同点2ランを放った渡辺巧(近大泉州)
一方、勝った近大泉州。
先発した1年生右腕の渡辺巧が2巡目に捕まり、一時は逆転を許したが、7回に自らの失点を取り返す同点2ランを放ち、流れを引き戻した。
「ホームランは高校通算10本目です。自分が打たれてしまったので、取り返すつもりで打席に入りました」と笑顔を見せた渡辺。1年生ながらこの夏もベンチに入り、3番ファーストとして大阪大会2試合で6打数3安打2打点と活躍。この秋からはピッチャーも務めるが、本人は「打つ方が好きです」と話す。
愛知県出身で、中学時代に近大泉州へ練習見学に来た際、豊田義夫前監督から声をかけられて入学を決めたという。
180センチ81キロの恵まれた体。新チームから清水雅仁監督に代わり、夏場は夜遅くまで寮でバットを振り込んできた成果を、秋初戦で見せた。
(文=編集部)