沖縄尚学vs糸満
前半全てでツーアウトからの得点!選抜出場校が見せた凄み
前日の三回戦、沖縄尚学は聖地への帰還を閉ざされる一歩手前まで追い込まれていた。
北中城の好右腕仲宗根亨のキレのある球にホームを踏むことが出来ず、1点ビハインドのまま9回裏一死走者無し。だが次打者が四球を見極めると平良勇貴がライト線を破る起死回生の同点タイムリー三塁打。その後一・三塁となって、代打の上原康汰がライト前へ運び劇的なサヨナラ勝ちでベスト8進出を果たしたのだった。
恐怖の小兵平良勇貴
その名門が見せた驚異的な粘りが、この準々決勝でも姿を表す。初回二死から名嘉昇司がライトへ二塁打、次打者が四球で繋ぐと赤嶺謙が甘い球を逃さず右中間を突破する2点タイムリー三塁打で先制した。
4回にはニ死三塁から主将諸見里匠が逆らわずライト前にタイムリー、さらに5回にはニ死一塁から柴引佑真が盗塁を決めると、北中城戦のヒーロー平良が右中間へ引っ張るタイムリー二塁打。前半全てでツーアウトからの得点を重ね4対0と試合を優位に進めていった。
平良は7回にもタイムリー三塁打を放つなど、この日の2本のヒットが全て長打。163cm60kgながら、力強いスイングを見せる恐怖の小兵の活躍で沖縄尚学が3年連続22度目のベスト4進出を決めた。
沖縄尚学先発の比嘉健一朗は、大事な初回に1番から3番まで全てを外野フライに斬るなど、5回を終えて9つのフライアウトを記録。130km未満の球速でも打者の膝もとにコントロールし、相手打者のバットを差し込んでいた秋の健一朗に戻りつつあるなと感じた。
糸満は6回、ニ死から新垣僚麻が四球を選ぶと大城龍将のレフト前ヒットで一、二塁、そして渡慶次志輝が三遊間を割るレフト前ヒットで二塁走者が生還を試みたが、沖縄尚学鉄壁の中継プレーに阻まれてしまうなど、自慢の足が封じ込まれてしまった。しかし観衆を魅了するスピーディーな野球はこの大会でも健在。2本のヒットを放った大城ら三年生の意地も垣間見れるなど、まとまりのあるとても魅力的なチームであった。
(文=當山雅通)
沖縄尚学 | TEAM | 糸満 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
遊撃 | 諸見里 匠 | 1番 | 遊撃 | 神谷大雅 |
中堅 | 知念佑哉 | 2番 | 二塁 | 岡田 樹 |
左翼 | 名嘉昇司 | 3番 | 一塁 | 赤嶺祥吾 |
一塁 | 柴引佑真 | 4番 | 左翼 | 新垣僚麻 |
右翼 | 赤嶺 謙 | 5番 | 中堅 | 大城龍将 |
二塁 | 平良勇貴 | 6番 | 右翼 | 渡慶次志輝 |
三塁 | 久保柊人 | 7番 | 三塁 | 上原 全 |
投手 | 比嘉健一朗 | 8番 | 捕手 | 喜友名夏希 |
捕手 | 具志堅秀樹 | 9番 | 投手 | 新里勇介 |