糸満vs嘉手納
初戦の鬱憤を晴らす16安打の猛攻で糸満が三回戦へ!
ここ三年間の沖縄県選手権予選大会の勝率を出すと、糸満がライバル達を引き離しているのが分かる。
糸満 16試合14勝2敗、勝率.875(優勝x1、準優勝x1、ベスト4×1)
興南 13試合11勝2敗、勝率.846(優勝x1、ベスト4×1)
浦添商 11試合9勝2敗、勝率.818(優勝x1)
沖縄尚学 13試合10勝3敗、勝率.769(準優勝x1、ベスト4x1)
中部商 13試合10勝3敗、勝率.769(準優勝x1、ベスト8×1)
※2010〜12年度全国高校野球選手権沖縄県大会の成績より
二度も決勝へ進んだばかりでなく、三年連続ベスト4以上の成績を残しており、21世紀に入り沖縄をリードしてきた四天王に食い込むどころか、リードさえする存在、それが糸満だ。
一回戦の勝利後、打線に関して糸満上原忠監督の胸中は「まだまだだな」と感じていた。だからこそ小禄をコールドで下してきた嘉手納との戦いは、頂点を目指すためのひとつの試金石となる試合でもあった。その思いが初回にいきなり爆発する。内野安打で出塁した走者を犠打で送り、3番赤嶺祥吾がセンター深くへタイムリー三塁打。ニ死となるが、ワイルドピッチで赤嶺が生還して2点を加えた。だが糸満打線はこれで終わらなかった。5番渡慶次志輝がセンター前ヒット、6番上原全がライトへ二塁打。中継ミスの間に渡慶次が生還し3点目を挙げると7番新垣僚麻がライト前へ運び上原全が4点目のホームを踏んだ。
攻撃の手を緩めない糸満は2回にも二本の安打で一・三塁とするとダブルスチールで相手の悪送球を誘い得点。そして内野ゴロの間に点を追加すると、3、4、5回にもそれぞれ1点を挙げて嘉手納の戦意を喪失させていった。
[page_break:惜しまれるミスが連発してしまった嘉手納]惜しまれるミスが連発してしまった嘉手納
嘉手納は2回、山川大基の安打を足掛かりに、四球と大城璃功のセンター前ヒットで一死満塁とチャンスを作る。次打者の当たりはピッチャーを強襲。マウンドの新里勇介がグラブに当て、ショートが一塁走者をアウトにする間に三塁走者が生還。さらに9番上地修人が左中間を突るタイムリーニ塁打を放った。だが俊足揃いの糸満外野陣が、一塁走者を三塁で止めたのも大きかった。糸満・新里は、1番喜久川正人をセカンドゴロに斬り傷口をそれ以上広げなかった。
嘉手納は4回にも具志堅優人の二塁打、5回にはツーアウトから四球とヒットで一・三塁としたがあと一本が出ない。逆にツーアウトとした7回裏、6番上原から三連打を浴び1点を返されると最後はワイルドピッチでコールド敗退が決定してしまった。
4回までに三つのバッテリーエラーがあり、かつ野手陣の送球ミスが重なってしまっては惜しいかな、どうすることも出来なかった。
勝利した糸満は、本来ならば4番を務めているはずの新垣僚麻(この試合3打数3安打3打点)を7番に置くことで、大城龍将や上原ら三年生の奮起も促す意味合いが濃く出たオーダーだったが、それで16安打を集めるのだから恐れいる。加えてこの日まずまずのピッチングをした新里に、投手としても計算出来る新垣僚の出来次第では、二年振りの王座奪回も十分視野に入る戦力だと感じた。
(文=當山雅通)
嘉手納 | TEAM | 糸満 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
左翼 | 喜久川正人 | 1番 | 遊撃 | 神谷大雅 |
捕手 | 比嘉裕樹 | 2番 | 二塁 | 岡田 樹 |
右翼 | 太田誠也 | 3番 | 一塁 | 赤嶺祥吾 |
一塁 | 山川大基 | 4番 | 中堅 | 大城龍将 |
二塁 | 上地大樹 | 5番 | 右翼 | 渡慶次志輝 |
中堅 | 具志堅優人 | 6番 | 三塁 | 上原 全 |
遊撃 | 大城璃功 | 7番 | 左翼 | 新垣僚麻 |
投手 | 桃原瑠希 | 8番 | 捕手 | 喜友名夏希 |
三塁 | 上地修人 | 9番 | 投手 | 新里勇介 |