鹿児島実vs尚志館
横田慎太郎(鹿児島実)
鹿児島実、「因縁の対決」を制す
梅雨入りした鹿児島地方は、朝から曇り空。時折雨に見舞われ、空模様が読めないのと同じく、試合も二転三転して先の読めない展開だったが、最後は鹿児島実が主砲・横田慎太郎（3年）の一振りで、劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。
思えば、昨秋の3回戦で両者が対戦し、尚志館が、この代の優勝候補・最右翼と目されていた鹿実に勝ったことから「大隅から初の甲子園」のドラマは始まったといっても過言ではない。鹿実としてはこの「因縁の対決」を制して、夏へのステップにしたい意気込みは相当なものがあったはずだ。
初回、制球の定まらない中野泰貴（2年）の不安定さを突き、3番・福永泰志（3年）、5番・大迫光之介（3年）のタイムリーで2点を先取した。
一気に鹿実がワンサイドで畳み掛けるかと思われたが、尚志館も2回、7番・枦山亮太（3年）が目の覚める鋭い打球で左中間を抜く三塁打を放って1点を返し、反撃の糸口をつかんだ。
3回には2番手で登板した谷口稜弥（3年）を攻め、3番・竹山真大（3年）、枦山のタイムリーなどで3点を挙げ、一気に試合をひっくり返した。
立ち上がり、不安定だった中野も、味方の援護で立ち直り、コースを厳しく突いて2―6回を無失点で切り抜けた。6回には3番手・藤丸諒（2年）から竹山の三塁打で追加点を挙げ、このまま尚志館が寄り切るかと思われた。
後のない鹿実は7回、福永のタイムリーで再び2点差に詰め寄る。9回裏は、8回からリリーフで上がった吉國拓哉（3年）を攻め、内野安打、死球、エラーで無死満塁。4番・横田は3ボール1ストライクから2球ファールで粘り、7球目を右中間に運び、チームに漂った暗雲を振り払った。
（文＝政 純一郎）
