鳴門vs今治西
鳴門入学後練習試合含め初の9回6安打113球完封の板東湧梧(3年)
成長し続ける鳴門エース・更なる高みへ
「いったい、どこまで成長し続けるのか・・・」
公式戦9回初完封の相手がこれまで強打を誇った今治西。
板東湧梧(3年)の現在は4失点がスタンダードだった昨秋の状態とは別人である。
「センバツ後は調子が落ちていたが、昨日(高知商業戦)の後半に『気楽に投げよう』と思ったら調子を取り戻した」修正力はこの日も健在であった。
日下大輝(3年)のサインに首を振る余裕も交えつつ、飄々としたピッチング。
「立ち上がりに流れがつかめないときに、立て直しが効かない」(大野康哉監督)今治西の現状課題を的確に突くクレバーさは、まるでベテラン投手のそれ。前日には数球団のNPBスカウトがネット裏を埋めたが、この日のピッチングを見たならば、きっと二重丸をつけたであろう。
こうして高いハードルを次々と超えていく板東。とはいえ、この活躍は同時に徳島県内他校のマークは彼に集中することを意味する。本人の望む、望まざるにかかわらず「四国屈指の好右腕」の代名詞がついて回ることも間違いない。ここからの道は彼自身も想像したことがない険しいものとなるはずだ。
それでも、秋から春までに鍛えた心・技・体の積み上げを継続できる謙虚さを忘れなければ、きっと壁は破れるはず。その尊さは「甲子園で実力を確かめられたことで上を目指そうと思った」彼自身が一番知っている。
(文=寺下友徳)