試合レポート

東海大相模vs湘南

2013.04.28

東海大相模vs湘南 | 高校野球ドットコム 

青島(東海大相模)

投手力の東海大相模

東海大相模といえば、アグレッシブベースボールと標榜するように積極果敢な走塁と攻撃が象徴的だ。ただ今年は投手力の東海大相模と呼べるほど投手陣が充実している。層の厚さに関しては2011年センバツ優勝した投手陣よりも上と呼べるものがあるだろう。

東海大相模の先発は青島 凌也
背番号10をつけているが、実力的には彼が背番号1を着けていても遅くはない。1年次に見た投球が強く印象に残っている。一二三 慎太(阪神)のようにスケール感溢れる逸材ではないが、投手としての総合力の高さ、投手らしい鼻っ柱の強さは並みの高校生ではないと驚かされたと記憶がある。それから1年。彼も順調に成長を見せていると感じた。

この試合のストレートは常時130キロ後半~142キロを計測。速球の勢いだけならば、神奈川県でもトップクラスだろう。

 

勢いにのる湘南に対し、速球とスライダー、フォークのコンビネーションで湘南打線を圧倒。5イニングまで7奪三振の快投を見せる。

東海大相模は1、2回とも無得点に終わっていたが、3回裏に一死一、三塁から遠藤の犠牲フライで1点を先制する。さらに4回裏、一死一塁から桒原が三塁線を破る二塁打を放ち一塁走者がホームイン。さらに二死二塁となって鈴木の三塁打で3対0と突き放す。

青島は終盤になっても安定した投球。速球、スライダーのコンビネーションが冴え渡り、7回まで投げて9奪三振の快投。ボール自体も素晴らしいが、何よりマウンドでの表情に落ち着きが感じられた。しっかりと周りを見渡して、声をかけあっていた。笑顔を見せながら、投げており、今日の精神状態で投げられれば、今後の大舞台でも好投が期待出来るだろう。


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小笠原(東海大相模)

 8回表から登板したのは小笠原 慎之介という1年生左腕だ。
彼はボーイズの名門・湘南クラブボーイズ出身。豪腕左腕として名を轟かせ、中学の硬式野球の日本一を決めるジャイアンツカップ杯優勝投手に輝いている。新1年世代からすると、トップクラスの投手だ。

まず体型だが、高校1年生とは思えない。お尻の大きさ、太ももの大きさなどは先輩投手よりも大きい。一つ一つの所作を見ると無理がなく、まだ体のキレの鈍さはあるが、変な癖がない。

そして彼が投じたストレートは想像を超えるほどの勢いがあった。重心を沈め、体を貯めこんで投げるストレートは威力抜群。回転数がそれほど高いタイプではないので、球速表示以上の速さを見せるキレはない。ただ木製バットを使っていたらバット2,3本を折ってしまいそうな勢いと重さがあった。

スピードは他校偵察部員のガンで常時130キロ中盤~130気後半で最速141キロを計測した。常時130キロ後半の速球を軽々と投げ込んでいるのだ。

つまりエンジンの大きさが違うのだ。いずれは145キロ~140キロ後半が期待出来るようなポテンシャルを秘めている。小笠原は1回無安打1奪三振の快投。

この日は直球中心で彼が持つ引き出しをすべて出したとは言いがたい。今後の試合ではどんな投球を見せてくれるか。また次も見たい!と思わせる快投。熱狂的な神奈川県の高校野球ファンに強烈な印象を与えたことは間違いない。


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小田桐(東海大相模)

 一方、湘南もポテンシャルが高いチームだ。東海大相模に現れた逸材に目を奪われそうだが、0対3の善戦を演じている。東海大相模打線は湘南の宮台、山田の両左腕に対して3得点のみ。代わった山田には無得点。なかなか決定打を奪えずにいた。

そして8回から登板した1年生左腕・千脇も宮台、山田に負けないような速球のキレがある。まだ細みだが、腕の振りが鋭い。体ができてくれば、もっと球速は伸びていく投手と感じた。東海大相模相手に3失点。強豪校相手でもしっかりとゲームメイクが出来ることを証明した。

東海大相模は9回表から左腕の小田桐 丞が登板。
小田桐は変化球の切れ味はの投手陣ではNO.1。スライダー、カーブ、スクリューの切れ味自体はなかなかで、低めに決まった時の変化球は捉えるのが難しい。ただリリースポイントが安定せず2四球を与えたが、変化球中心の攻めで1イニング4奪三振の投球で、9回を締めてゲームセット。東海大相模が準決勝進出を決めた。

東海大相模は投手陣の層の厚さを見せた試合内容だった。
登板しなかったが、湘南工大附戦で先発した仲宗根 大都も控えている。仲宗根以外の投手にも経験をさせる理想的な試合内容だった。打線については今後の試合でも簡単に点が取れる相手ではないので、積極的に先の塁を仕掛ける野球で、打ち崩していきたいところだ。

自慢の投手陣にさらに自信をつけるために関東大会に勝ち進みたいところ。準決勝では桐蔭学園と対戦する。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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