奄美vs鶴丸
藤崎叡(奄美)
「新生・奄美」の歴史的1勝・奄美
奄美が2年前の春以来挙げた県大会の勝利は、ただの1勝以上の意味があった。大島工と統合して「新生・奄美」となっての初勝利だ。前園昌一郎監督は「勝因は子供たちの執念。子供たちに感謝したい」と健闘を称えた。
苦しい試合だったが、心身ともにたくましくなった姿をグラウンドで発揮できた。安打数は奄美7に対して鶴丸12。6、7回の勝ち越し、ダメ押し点は相手のミスが絡んでもらった得点である。8回に1点差まで詰め寄られ、9回は一打サヨナラの正念場もあった。
「見える景色は普段の練習場と違うけど、自分をしっかり持って、チーム一丸で戦えた」
泊順也主将は胸を張って言い切る。派手な力強さを発揮したわけではないが、劇的な展開の中でもいつも通りの野球をやり切った。141球で完投したエース藤崎叡は「相手の応援も盛り上がって、のみ込まれそうだったけど、守備を信じて最後まで投げ抜くことができた」言う。
日頃から、ピンチの場面を想定しながら守る練習を繰り返したことや、結果を恐れず積極的に攻める姿勢を随所に発揮した。
学校が新しくなって活気づくと同時に、バレーボール部、バスケットボール部、サッカー部などが結果を残した。「野球部も続こう」(前園監督)と「今までと違う奄美を見せよう」(藤崎)と意気込んで大会に臨んだ。日常生活の態度など「高校野球の原点」(前園監督)から見つめ直し、コツコツ取り組んだことが粘り強さの源になった。
(文=政 純一郎)