東温vs伊予
東温・日高潤基捕手(2年)
東温、「黄金バッテリー」の継承者誕生!
春は出会いと別れの季節。でも、やはりこれまでいた場所には名残が残るもの。この日、東予・中予・南予の3地区予選で開幕した「平成25年度春季四国地区高等学校野球愛媛県大会」においても、卒業式を終えたばかりの野球部OBたちが後輩たちの応援に駆け付けていた。
そんな中、東温応援席にはひときわ目立つOBの姿が。光田一樹。2011年夏には左腕・加藤省吾との2年生バッテリーでチームを32年ぶり県ベスト4に導き、昨年度は主将も務めた大型捕手。「4月からは加藤と一緒に松山大学へ進みます」と語る彼の表情は、目標を甲子園から神宮に変えて夢の続きを追いかける決意に満ちていた。
そして光田の見つめる先には、まるで2人の2年前を思わせる2年生バッテリーがしっかりとゲームを作っていた。先発左腕の渡辺翔吾は初回こそ伊予リードオフマン・横内洸太(2年)の内野安打から始まり、4番・上杉拓海(2年)に中越三塁打を浴び2点を失ったものの、その後は加藤を彷彿とさせる内角低めへの丁寧な投球で、要所を抑えるナイスピッチ。
渡辺をリードする日高も地肩の強さと「落ち着きやっている」と和田健太郎監督も評価するリードで、スイングに速さを持つ伊予打線に的を絞らせなかったのである。
かくして5回表には3安打を集中。相手守備の乱れも突き4点を奪った東温は、秋季県大会中予地区予選、地区別1年生大会連続初戦敗退の鬱憤を晴らす逆転勝ち。まだまだ技術面では改善の余地は多々あるものの、野球部に歴史を刻んだ「黄金バッテリー」の継承者たる資格をまずは手にしたと言ってよいだろう。
(文=寺下友徳)