関西vs春江工
[pc]
[/pc]
坪田和大投手(春江工業)
関西、05年以来の決勝進出
2005年秋以来の決勝進出を狙う関西と浦和学院を破った春江工の対決だ。中国王者に対し、春江工がどこまで食い下がることができるか。
しかしこの日も、エース坪田 和大(2年)が、浦和学院戦と同様に大荒れの立ち上がりとなってしまう。
1回表、1番逢澤 崚介(1年)に3ボール1ストライクからレフト前ヒットを浴びると、2番小郷 裕哉(1年)にもレフト前ヒット。3番児山 祐人(2年)の犠打で二、三塁となると、4番土井 慎二(1年)のライト前ヒットで2点を先制されてしまう。さらに5番海野 裕介(1年)の四球と6番戸部 大二(2年)のタイムリー。7番堅田 拓己(2年)の四球で満塁となり、8番田中 彼方(2年)には押し出し四球を与えてしまって、0対4で1回を終えた。
その裏、春江工は西 啓太(1年)がセンター前ヒットを放ち、2番梅村 拓実(2年)が犠打で送る。3番木下 恵吾(1年)のセカンドゴロで二死三塁と場面は進み、4番栗原 陵矢(1年)のレフト前タイムリーで1点を返す。
このままでは終盤に強い春江工なので、再び逆転するのではないかという期待があった。その雰囲気が関西にとって嫌らしい。江浦滋泰監督も警戒を強めていた。
「相手はあの逆転劇がありましたし、非常に嫌らしいチームでありました。選手たちには点差が離れていることを意識せず、0対0の心境で試合に臨みなさいと伝えました」
先発の児山は初回に制球に苦しんだが、ストレート、スライダー、スクリューを投げ分けていきながら、投球を組みたてていく。この日も持ち味であるスクリューが嵌り、春江工打線を抑え込んでいった。
関西打線は攻撃の手を緩めず、3回表に相手のミスで1点を追加。6回表にも一死三塁から5番海野の痛烈なセカンドゴロの間にもう1点を追加する。
続く7回表、二死から8番田中彼はレフト前ヒット。9番浦木 直大(2年)が四球で繋ぎ、1番逢澤はレフト前へタイムリー。さらに2番小郷の左中間を破る三塁打で、一気に2点を追加。そして、3番児山はスライダーを打ってレフト前へのタイムリーとし、この回4点目を挙げた。
7点以上の差が開き、なんとかコールド負けだけは阻止したい春江工はその裏、先頭の1番西が2ボール1ストライクからのスライダーを打ってレフト前ヒットとする。2番梅村にショートゴロで一死二塁となり、3番木下はレフト前ヒットで繋ぐ。この場面で4番栗原がライト前へタイムリーを放って1点を返した。
しかし、関西の守備に反撃を阻まれ、8点差でコールドゲームが成立。関西が決勝進出を決めた。
児山祐斗投手(関西)
今回の勝利で2005年以来の決勝進出を果たした関西。
エース・児山という軸がいて、1番逢澤、2番小郷、4番土井、5番海野と上位打線が1年生と若いチーム。突出した長打力はないが、ミート力、守備力は1年生としては高いレベルに到達しており、改めてポテンシャルの高い選手が揃えてきている。
決勝戦へ向けて江浦監督は、
「相手の仙台育英さんはここまで打線に勢いがありますので、決勝戦へ対策をしていきたいと思います。神宮大会を優勝することで、(選抜大会の)枠が一つ増えますので、中国代表として頑張っていきたいです」
敗れた春江工の川村忠義監督の会見。
「改めて全国レベルとの力の差を実感しました。選手の体格、野球の精度、試合の入り方の一つもそうですし、いろいろと課題が見つけることができました。それでも選手たちはここまでよく戦ってくれました。坪田も昨日に比べて良かったですし、良くやってくれたと思っています」
明治神宮大会では序盤で大量失点をしても、諦めなければ勝てる経験と全国レベルの強豪校とのスキルの違いを実感した。その差を埋めるために自分たちに必要な練習法を見出し、厳しい冬を乗り越え、来年にはミラクル春江工旋風を巻き起こすつもりだ。
(文=河嶋宗一)