松山聖陵vs松山城南
2番手で登板した嘉陽宗一郎(松山聖陵)
「スピード」vs「チャージ」
「スピード&チャージ」。これは長嶋茂雄監督の第2期監督時代(1993年~2001年)におけるキャッチフレーズだったが、松山城南と松山聖陵との一戦は「スピード」と「チャージ」が激しく火花を散らす展開となった。
まず主導権を握ったのは50m走5秒7の中堅手・越智郁(1年)をリードオフマンに「スピード」を全面に押し出す松山城南である。野選によって1点を先制された後の4回表には一死から2番・西田直(2年)の三塁打を皮切りに4連打で4点を奪い逆転。中でも3番・大政晃平(2年)の12秒38で到達した三塁打、相手中堅手のミスを見逃さず一挙ランニング2ランとした5番・兵優大(2年)の打撃は、彼らの目指す方向性が如実に表れたものだった。
一方、松山聖陵は「チャージ」で対抗。4回からマウンドに立った185㎝エース右腕・嘉陽宗一郎(2年)が鋭いスライダーを駆使し味方にリズムを呼び込むと、6・7回で一挙4点を奪い返し逆転。長打、犠飛、四球、安打、盗塁、内野ゴロと、あらゆる手を駆使して1点差に迫り、最後は二死二・三塁から6番・渡部慎彦(2年)の右前2点適時打で逆転した辺りは、「粘っていくことができた」と、普段は厳しい指導で定評のある荷川取秀明監督も笑顔を見せる出来であった。
その他にも、再三守備範囲の広さを見せ付けた松山城南・越智と沖縄県中学陸上100m・200mチャンピオンのポテンシャルを有する国吉翔平との「1年生1番・中堅手」対決など見所が多かった両者。これから春にかけて「もうひと伸び」があるならば、県レベルでも台風の目となれるはずだ。
(文=寺下友徳)