浦和学院vs聖光学院
主力選手の成長を実感 26年ぶりの3回戦進出
やっと全国で思い通りの野球が出来ている。
春ベスト8に進出した浦和学院。ここ3年、甲子園から遠ざかっていたが、しっかりと地力をつけて連続出場を果たした。選抜から帰ってくるチームは少ないだけに実力伯仲の埼玉大会を勝ち抜いたのは大きな自信となっている。1回戦、高崎商に勝利し、迎えた聖光学院戦。
この試合も自慢の破壊力ある打線で、聖光学院を圧倒する。
1回裏、浦和学院は園部 聡に3ランを浴びる。それにしても園部の一発は素晴らしかった。甘く入ったとは伊外角のストレートを強く押し込んで、バックスクリーンに放った本塁打。確かな技術がなければ打ち込めない。長打力に加え、狙い球を逃さない鋭さがあり、園部は来年の右打者ではトップクラスの評価を受ける逸材だろう。一塁手ではあるが、ポジション抜きにしても注目される選手だ。
しかし直ぐに取り返せるのが今年の浦和学院の強いところ。一死から2回の表、6番高田 涼太(3年)はストレートに詰まってセンター前ヒット。7番明石 飛真(3年)は死球。8番西岡 伸朗(3年)は高めのストレートを振り抜いて左中間を破る二塁打で2点を返し、3対2。緑川 皐太朗(3年)はセカンドゴロ。竹村 春樹(2年)は低めのチェンジアップをセンター前に打ち返し、同点に追いつく。林崎 龍也(3年)は高めのストレートを打ってライト前ヒットで勝ち越しに成功する。
さらに3回表、一死から5番笹川 晃平が甘く入ったスライダーを逃さず左中間へ打ち込むホームランで、追加点。さらに緑川のタイムリーで1点を追加し、6対3へ。聖光学院のエース岡野 祐一郎を9安打6得点を上げて、ノックアウト。
二番手左腕・飯高 星哉(3年)が登場しても打線の勢いは緩めることなく、追加点を入れ、なかなかスカッとする当たりがなかった佐藤 拓也(3年)が8回表に、直球を振り抜いて綺麗な弾道で、ライトスタンドへ飛び込む一打を打ち込んだ。彼のホームランは初めて見た。ゆったりと始動して、手元でボールを呼び込んで振り抜いていった。
浦和学院は計18安打11得点で聖光学院に快勝した。聖光学院はあと一押しが足りなかった。特に4回裏、無死一、二塁のチャンスで無得点に終わったのが痛かった。
浦和学院は春よりも攻守で着実に成長を感じさせ、技量の高い選手たちが試合で発揮出来るようになった。
笹川 晃平が5打数4安打、竹村 春樹が6 打数4安打と大当たり。今まで主力選手が選抜から大きな成長を感じさせる。笹川 晃平は捏ねるようなスイングをする悪癖があったが、それが消えて、ゆったりと構えて、トップまで小さい動作で、スイングは豪快。着実な成長を見せているアスリート型外野手だ。
竹村は自分のフォームを掴んだのか。小さく足を上げる動作を行い、体が突っ込まず、ボールを長く見るようになったことで、的確にボールを捉える事が出来るようになった。
守備はフットワークを活かし、守備範囲は広く、捕球してからの送球するまでのスピードも速い。来年の埼玉地区を代表するショートストップになっていくだろう。
浦和学院は1986年以来の3回戦進出。その年は浦和学院が初出場した年で、ベスト4まで勝ち進んでいる。
今年の浦和学院は試合内容、選手の技量ともに着実に成長を見せており、自信を持ってその位置を狙えるまでのチームではないだろうか。
(文=河嶋宗一)