試合レポート

仙台育英vs飯塚

2012.08.15

破壊力ある打線が機動力野球を粉砕する

全国レベルの打線はモノ見事に発揮した試合であった。打線が売りの仙台育英と機動力野球の飯塚

お互いの持ち味を発揮すれば、試合終盤までシーソーゲームになっていくと予感させたが、仙台育英の破壊力ある打線が飯塚の機動力を沈黙させた。

 仙台育英は初回から積極果敢な攻撃。一死から2番柏木 勇人、3番星 隼人の連打で、一死一、三塁のチャンスを作り、4番上林 誠知に打席に回った。初戦では4打数4安打を打っており、調子を上げてきている。オープンスタンスで背筋を伸ばした状態で構える姿は稲葉 篤紀(日本ハム)を彷彿とさせる。集中力の高さが感じられ、隙のなさを感じる。始動遅めで捕手の手元で呼び込んでやや弧を描くような綺麗な軌道で、振り抜く巧打者。第1打席は真ん中低めスライダーを振り抜く痛烈なファーストライナー。ダブルプレーになったが、その後の打撃の爆発を予感させる一打であった。

 先制したのは飯塚。2番丸本 大志は2ボール1ストライクからスライダーを打って中前安打。2番丸本が1ボール1ストライクからスタートを切り、盗塁成功。3番檜 幹也は2-2からストレートを引っかけ投手ゴロ。飛び出した丸本を挟んで、二塁へ送球するが、送球が逸れて一死一、三塁。4番2234はストレートを強引に引っ張る素晴らしい当たりを見せる。一塁ゴロで、三塁走者ホームイン。さらに白石 剛己の左前適時打で2対0。6番堀 裕樹はストレートを捉えてセンターフェンス直撃の二塁打で3対0。機動力を絡ませ、3点を先行した。


だが2回表、早坂 和晋がストレートを思い切り引っ張って大会23号。スクエアスタンスで構え、彼も手元で呼び込んで豪快なフォロスルーで飛ばしている。アッパースイングなように見えるが、軸足にしっかりと体重を乗せて、力を抜いて豪快に振り抜く。フォロスルーはまでるメジャーリーガーのようで、狙い球に対して、フルスイング出来る技術が素晴らしい。

 3回表、1番高橋 竜之介が右前安打、2番柏木の犠打で一死二塁。3番星の中前安打で、一死一、三塁でチャンス。そして4番上林が1-1から外角高めの直球を振り抜き、左中間を破る二塁打で1点を返し、3対2。トップからインパクトまでヘッドスピードが実に速く。広角に打ち返す打撃は素晴らしい。そして二塁打のタイムは7.87を計測。脚力も高い野手だ。一死二、三塁から5番早坂の右犠飛で同点。そして6番渡辺 郁也が内角高めの直球を振り抜き、ライトフェンス直撃の二塁打で逆転に成功。

 4回表、一死三塁から暴投で1点を追加し、1番高橋が右前安打。そして2番柏木が左越えの二塁打でさらに1点を追加し、6対3。試合を決定づけた。序盤で6得点。まだまだ爆発するぞと思わせる破壊力に飯塚のムードは沈んでしまう。仙台育英のエース・渡辺は135キロ前後の速球を内外角低めに投げ分けながら、決め球にフォークを使い、飯塚打線を封じ込み、11奪三振完投。投打がかみ合い3回戦進出を果たした。

 仙台育英は初戦に続き快勝。チーム打率.413、27安打、14得点と打線が活発。そしてレギュラーは全員ヒットを打っているのだから、まさに切れ目のない打線。この2試合によって仙台育英打線は高校野球ファンから見逃せない存在になりつつある。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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