試合レポート

秋田商vs福井工大福井

2012.08.15

秋田県の成長を実感

今年の秋田も強い!そう感じさせるゲームであった。
3年連続出場を目指す能代商を下し、7年ぶり出場の秋田商
対するは開幕戦に勝利し、勢いに乗る福井工大福井。エース菅原 秀は最速145キロの直球とナックルカーブのコンビネーションで10奪三振完投勝利。菅原の他に140キロ右腕・菅谷 潤哉、変化球のキレが良い左腕・上野 幸己を擁し、投打ともにバランスが取れた好チーム。

試合は1回表に上田 哲平の左中間を破る適時三塁打で先制し、さらにスクイズで2点目。福井工大福井、初戦の勢いそのまま。良い流れで試合に入る事が出来た。

菅原の立ち上がり。いきなり145キロ級の速球で追い込む。調子自体は良さそうに見えた。だが1番柳田一樹が今日最速の148キロの中前安打を放った。このヒットを打たれたことにより、自分のリズムを崩したのか。2番に死球を与え、無死一、二塁のピンチを迎える。一死二、三塁となって、4番近藤の三塁ゴロで1点を返され、二死三塁。制球は乱れていたが、この1点に凌げば良い。しかし今日の菅原は制球が定まらなかった。連続死球で、二死満塁。7番坂谷 歩に押し出し死球を与え、8番三浦健太郎の中前適時打で1点を失い、9番佐藤創の押し出し四球で一挙4点を失う。

菅原はこの試合では自分のリリースポイントを取り戻す事が出来ず、2番大関匠太にホームランを打たれるなど、8四死球7失点の大乱調で降板した。
菅原の自滅と捉えられそうだが、秋田商打線も148キロ右腕・菅原に対して、気後れすることなく、自分たちの打撃が出来ている。

上野幸己が登板。左腕から長い腕から繰り出す速球は135キロ前後だが、肘のしなりを活かし、大きく曲がるカーブ、スライダー、フォークのコンビネーションで秋田商打線を封じ込み、試合を落ち着かせる。


 反撃したい福井工大福井だが、秋田商のエース・近藤卓也を打ち崩す事が出来ない。
近藤は130キロ後半の速球、スライダー、チェンジアップをコーナーに散らしていく投球で、6回まで3失点に抑える好投。そして7回から阿部創星が登板。春季大会時に近藤の不調により登板数が増え、大きく伸びた投手だ。

 173センチ73キロと投手としては小柄だが、余すことなくボールに力を伝えられる好投手で、常時130キロ後半の速球をコントロール良く投げ分け、スライダー、チェンジアップのキレも良い。後ろでこれほど安定した投手がいるのは秋田商にとっては実に心強いだろう。

 7回裏から菅谷が登板。評判通り140キロ台の速球を投げ込み、切れのあるスライダーも投じており、福井工大福井の投手陣の力量は全国クラスと印象付けたが、秋田商はその菅谷に対してもしっかりと対応してきた。3番杉谷汰一が変化球を捉えて左前安打。一死二、三塁のチャンスを作り、スクイズで追加点を入れる。硬軟織り交ぜた攻撃を展開。そして9回を阿部が守りきって3回戦進出した。

これで秋田県勢としては2年連続のベスト16。能代商に続き、攻守でレベルの高いチームだ。近藤、阿部の2枚看板に加え、打線は福井工大福井の自慢の投手陣から9安打。140キロ台の速球を見せられながらも、変化球を流し返す打者も揃っている。ヘッドが立って、トップの位置が安定し、きっちりと捉えられる打者が多い。スクイズを絡ませるなど幅の広い打撃を見せている。守備も9回まで無失策と堅実な守備を展開した。

能代商秋田商の試合運び、野球の精度を観て、秋田県全体でレベルが高まっているのが実感出来る。昨年1月から県全体の強化が身を結びつつある。次勝てば、1995年以来の夏ベスト8。次の一戦で、秋田は旬の時期に入るか、否かが試される一戦となる。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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