東海大甲府vs成立学園
スピーディなゲームは盤石な守備から生まれた
1時間16分というスピーディなゲームになった関東決戦。東海大甲府が3対0で初出場の成立学園に勝利し、3回戦進出を果たした。スピーディな試合展開になったのは東海大甲府のエース神原 友のテンポの良い投球、球際の強い東海大甲府の守備陣が安定した守りを見せて、スピーディな試合展開を生んだといえる。
神原は徐々にスパートがかかり、常時140キロ前後・最速146キロのストレートにスライダー、縦に鋭く落ちるスライダーのコンビネーションは圧巻で、まさにドラフト候補に相応しいパフォーマンスだった。
成立学園の先発は谷岡 竜平。粘り強い戦いを見せてきた成立学園の象徴とも呼べる投手。ワインドアップから始動し、フィニッシュまで引っかかりがない綺麗な投球フォーム。速球は140キロ前後を計測し、スライダー、カーブ、フォークを投げ分け、トータルバランスの高い投手だが、ストレートは打者を押し込むほどの球威はなく、捉えられる事が多い。粘り強く投げる事が出来ていたが、4回裏、二死一、三塁から相原 洸介(3年)が高めのストレートを押し込んで右中間を破る三塁打で2点を先制。さらに6回裏に一死一、二塁から相原のタイムリーで1点を追加し、3対0。
この3点目が大きかったのか。成立学園打線は淡泊な打撃が目立った。神原は終盤になっても140キロ台を計時し、安定したマウンド捌きで88球4安打完封勝利。神原の投球も素晴らしかったが、それ以上に素晴らしかった東海大甲府の二遊間の守備だ。セカンド・新海亮人(3年)、ショート・渡邉 諒(2年)の広い守備範囲、球際の強い守備が光った。特に9回表、先頭・三好 智泰(3年)が放ったセンターへ抜けそうな打球をシングルハンドで捕球し、そのままスロー。見事なファインプレーであった。しかも三好の一塁駆け抜けは4.03。如何に彼の守備範囲が広く、捕球してから送球するまでの動きが速いことが伺えるだろう。
2番見目雅哉が打った鈍いセカンドゴロを新海が前進し、シングルキャッチで捕球した後は踏ん張って強いリストを活かしてダイレクトスロー。ファインプレーであった。
甲子園のファンを引き付けたのはこのプレー。セカンド・新海がセンター手前のゴロを受け取って、渡邉諒にグラブトス。渡邉がスローイングという中日の荒木・井端を彷彿とさせる連携プレー。惜しくも内野安打になったが、それだけこの2人の連携度は抜群ということが伺えるワンプレーであった。
春先に比べて内野手の守備がより磨かれ、さらに盤石な野球が出来るようになった。この試合は3得点だったものの、各打者のスイングが実に鋭く、大型チームと呼ぶのに相応しいゲーム内容だった。
成立学園は3点目を取られてからやや諦めムードだったのか。淡泊な打撃が目立った。予選で見せた粘り強い野球を甲子園でも発揮してほしかった。
(文=河嶋宗一)