木更津総合vs松戸国際
三度目の正直
木更津総合と松戸国際。両校は、秋と春共に公式戦で対戦している。
秋は3回戦で対戦し、12対7。春では準決勝で対戦し、6対5で松戸国際が2連勝をしているのだ。木更津総合にとってはちょっとした苦手意識があるかもしれない。
それもあったのか、1回裏。1番熊谷が追い込んでからスライダーを合わせられてセンター前ヒット。2番大橋にはパスボール。さらにバックネット裏深くに転がって、熊谷は三塁を狙う。國廣は三塁へ送球したが、サードがこぼして、セーフ。無死三塁となった。
2番大橋は四球。四球となったボールを國廣が後逸。パスボールで1点を先制する。
細かなミスが多い木更津総合。
だが点を取られたらすぐに取り返す事が出来る打線である。点を取られた後にエンジンがかかるからこの打線は驚異的だ。
5番高橋が四球で出塁、6番秋庭がセンター前ヒットで、一死一、三塁にチャンスを作ると、7番逆井は左中間を破る二塁打で、すぐに逆転に成功。
さらに、8番黄本もレフトへのヒットで続き、9番岡田のセンター前で1点を追加。二死となって2番杉崎の左中間を破る二塁打でもう1点加え、4対1とした。
4回表、二死から連打でチャンスを作り、2番杉崎が甘く入ったストレートを逃さずレフトスタンドへ飛び込む3ランホームラン。
この杉崎を、従来の2番と考えてはいけない。元々は5、6番を打っており、パンチ力と勝負強さを兼ね備えた選手。この夏は攻撃的2番として夏に臨んでいる。
3番に座る三国和磨、4番高野勇太と並ぶから、さらに気が抜けない打線になった。
1回に1点を失った黄本だが、安定感のあるピッチングを展開。
常時140キロ、最速143キロのストレートを内外角・低めにきっちりと投げ分け、カーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップを巧みに操り、打たせて取る投球を展開。
西武台千葉戦では単調なピッチングが気になったが、この日は自分の間合いで、制球良く投げることを意識。無駄な力みもなく、良いリリースポイントでボールを放る事が出来ているので、以前の140キロのストレートと違って、手元まで失速せず、空振りを奪う事が出来ている。
1年秋から彼の投球を見てきているが、今まで一番良いピッチングだ。ストレートが速いだけの投手ではないことをしっかりと示している。
1回の1安打以降、ヒットを打たせない完ぺきなピッチングを見せていた。
だが8回裏、二死から四球、センター前ヒットで二死1,2塁となって、2番大橋が直球を捕え、ライト線を破る長打になる。ランナーが2人生還し、7対3と追い上げたが、大橋が三塁でタッチアウトとなった。
松戸国際の反撃を凌ぎ、黄本は最後の打者を空振り三振に打ち取り、決勝進出。08年以来の決勝進出を果たした。
1年秋に鮮烈デビューした黄本、3番を打つ三國、4番高野と好選手揃いで、昨秋から勝負をかけていた木更津総合。しかし同じチームに連敗するのは忸怩たる思いであっただろう。
春季大会の時に主砲・高野勇太が、「4年前に甲子園に出場した先輩たちの試合のビデオを冬の間に見てきて、こんなチームになりたい! 甲子園に行きたい!という気持ちで本気で練習に取り組んできました」と語ってくれた。
その言葉は嘘ではないことがここまでの戦いぶりが示している。まだ粗削りな所は見えるが、レギュラーとして出場する選手の成長が目覚ましい。いきなり成田とぶつかる厳しい戦いになったが、その戦いを乗り越えてからは一歩ずつチーム力を高めているのが感じ取れる。
4年前の先輩と肩を並べるまであと1勝まできた。全力で172校の頂点を勝ち取っていくつもりだ。
(文=編集部:河嶋宗一)