試合レポート

木更津総合vs西武台千葉

2012.07.23

猛攻果敢!

一寸先まで読めない試合展開だった。
両チームの猛攻果敢な攻撃が、観衆の息をのんだ。木更津総合と初出場を目指す西武台千葉の対決。

1回表、一死二塁から3番三國和磨の左中間を破る三塁打で1点を先制。さらに3回表、高野がセンターへ大きな飛球を放つ。平凡なセンターフライになるかと思われたが、センターは前に守っていた。全速力で、打球を追いかけるが、及ばず。打球は右中間へ転々と転がった。

高野は二塁を蹴って、三塁へ。
三塁打になるかと思われたが、外野から中継に渡った時、高野は三塁に達していた。こうなれば高野は三塁を蹴ってホームを狙う。バックホームするものの、及ばずランニングホームランとなり、木更津総合が2点目。さらに6回表にも二死2、3塁から逆井のセンター前ヒットで4点目を挙げた。

木更津総合の先発は1年生の千葉貴央。中学野球では名門・七林中出身の投手である。
マウンド上で落ち着きが感じられ、確かに大事な準々決勝で任されるのも頷ける。右スリークォーターから130キロ前後の直球、スライダー、カーブのコンビネーションで西武台千葉打線を6回まで封じ込んでいた。

だが7回裏、疲れが見え始めた千葉から西武台千葉は一死二、三塁から9番犬飼がセンターへタイムリーを放ちで2点を返す。
ここで千葉が降板。エースの黄本創星(3年)がマウンドへ上がった。

黄本は立ち上がりから全力投球。常時140キロ、最速144キロのストレートで押す投球。だが二死一、二塁から3番金藤大喜(3年)のレフト前タイムリーで4対3。1点差まで迫る。

木更津総合は8回表、二死二、三塁から逆井の左中間を破る二塁打で2点を追加し、6対3と突き放す。

8回裏、無死から5番栗田が直球を捕えて右中間を破る三塁打。
その後、二死まで打ち取ったが、8番岩間の三塁ゴロをはじき、再び2点差に。9回裏、一死から3番がファーストのエラーで一死二塁。ここまで3安打の金藤は四球。
4番外山遼(3年)は打ち取ったが、二死二、三塁から栗田が再びレフトへタイムリーを放ち、ついに同点に追いついた。このプレーで二塁走者もホームへ突っ込んだが、レフトの好返球でタッチアウト。レフトは前進守備を敷いており、難しかったかもしれない。

試合は延長戦へ。


10回表、三國、大澤の3,4番が倒れて二死まで取った。あと一人抑えれば、同点のまま裏攻めに入る。そうなると圧倒的に西武台千葉が有利になる。そういう油断があったのだろう。5番高橋慎之介(3年)が甘く入った直球を振り抜く。打球はライトスタンドへ飛び込むホームランとなる。

その裏、黄本が抑え込んでゲームセット。08年以来のベスト4進出を果たした。

最後まで手に汗握る試合展開。お互い猛攻果敢という文字がぴったりな攻撃であった。ボール球に手を出すなど、荒削りな部分は見られたが、少しでも甘く入れば簡単に長打にする。投手戦も面白いが、最後まで先が読めない打撃戦は実に見応えがある。

負けた西武台千葉は前評判こそ高くなかったが、高い集中力で、狙い球をしっかり振り抜き、黄本の140キロ台の直球にも振り負けないで、次々と鋭い打球を飛ばした打撃力は見事であった。
ノーシードであったが、攻守ともにしっかり鍛えられている好チームであった。シード相手にがっぷり4つで対抗し、緊迫したゲームを展開する。それが千葉県のファンを熱狂させ、根強い人気を生んでいるのだろう。

木更津総合はエラーから失点を重ねたというのは反省点であり、内野のミスだけではなく、外野手もバックホームで高い軌道を放り、無駄な進塁を許してしまった。打線もボール球に手を出すなど、いつもの木更津総合打線らしくなかった。
エース黄本もスピードは出ていても単調な配球が多く、間合いを変えることもせず、相手に合わせる投球が多かった。彼のように出所が見難い投手ではない投手は配球を工夫していかないと命取りになる。

いろいろなミスはあったが、単調な配球・簡単な守備のミスから点を失う怖さを実感した木更津総合は次の試合へ向けて収穫のある一日ではないだろうか。次は松戸国際。今春準決勝の再戦となる。

(文=編集部:河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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