帝京vs都立葛飾野
エースの不調を救った先発右腕
1回から帝京の先発投手・木部拓実(3年)のスライダーが面白いように決まる。
ストレートにも力があり、ただでさえ打ち崩すのに苦労しそうなのに、スライダーが外角低めに丁寧かつ豪快に決まるのだから、都立葛飾野打線も木部を攻略するのは容易ではないだろうなと感じていた。
結局、9回裏二死一塁の場面でエースナンバーを背負う渡邉隆太郎(3年)にマウンドを譲ったが、最後にはまたマウンドに戻り、無四球12奪三振の圧巻の投球を見せ、都立葛飾野打線を完璧に封じ込めた。
帝京打線は中盤に都立葛飾野のエース下浦寛史(3年)を打ちあぐね、なかなか追加点をあげられずにいたが、終盤には長打に足を絡め、試合を決定づけた。
4番の渡邉は投球こそ本来の力を発揮できずに終わったが、高校生離れした身体から繰り出される力強いスイングは名門帝京の4番打者に相応しく、今後もその打棒から目が離せない。
昨年からレギュラーとして活躍する3番の阿部健太郎(3年)も先制のタイムリー三塁打を放ち存在感をアピール。扇の要、キャッチャーの石川亮(2年)は木部を上手くリードし、チームをベスト8に導いた。
一方、都立葛飾野も見事な戦いぶりだった。全身を使い投げ込む下浦のボールは強打の帝京打線を翻弄。フライアウトを連発し苦しめた。打撃陣も最後には2点を返し、意地を見せた。
(文=編集部)