都立雪谷vs日大桜丘
上位下位切れ目なくつながり再逆転!
03年夏甲子園出場、09年夏東京大会準優勝の都立屈指の強豪・雪谷。昨秋から攻守にそつのない良いチーム。ただ秋ということもあって、主力選手だけが目立つチームで、この夏勝ち上がるにはレギュラー全体の底上げが必至であった。
1年ぶりに見た雪谷ナインは多くの選手が成長し、上位下位切れ目のない打線に成長を遂げていたのだ。
雪谷は1回表、館越 友哉(3年)のセンター前タイムリーで1点を先制。さらに2回表には三盗を試み、送球が逸れた間に1点を追加。5回表には、一死三塁から7番渕山 剣吾(2年)のタイムリーで1点を追加し、3対0とした。
エース桑原佑介も勢いのある直球と切れのあるスライダーのコンビネーションにより5回無失点の好投。試合の主導権を握ったかのように思えた。
しかし6回裏、日大桜丘が反撃に転じる。1番宮沢 研人(3年)がショートへの内野安打で出塁。さらに連続四死球で無死満塁となって4番田中 実(3年)が右中間を破る二塁打で、同点。6番細谷 祐貴(2年)がライトへタイムリーを放ち1点を入れ、4対3で逆転。右手を突き上げる田中。6回でひっくり返した。
だが、勢いのある雪谷。このままでは終わらなかった。一死から6番館越が四球で出塁し、7番渕山がこの日3安打となるレフトへのヒットで一死一、二塁のチャンスを作ると代打・鈴木宇ぶ童(3年)。179センチ89キロと恵まれた体格を持ち、長打を期待されて打席に入ったが、死球。桑原の内野ゴロの間に同点に追い付き、二死一、三塁となって、1番甚田 有己(3年)のレフト前タイムリーで再び逆転に成功した。
さらに8回表には打線と日大桜丘の守備の乱れも重なって、一気に5得点。コールドゲームの点差まであと1点に迫り、期待の3番田中がセンターへ大飛球を放ったが、センターの好捕によりコールドにはならず。
4失点したものの、立ち直った桑原が締めてゲームセット。決勝まで勝ち進んだ2009年以来の5回戦進出を果たした。
昨秋から着実にチーム力を高めており、1番に座った甚田、4番に座った亀高 悠生(3年)、先制のタイムリーを打った館越、4安打の渕山は昨秋までは目立つ活躍はしていなかった選手たち。キャッチャーの田中、ファーストの李、エース桑原だけではなく、多くの選手の底上げが今の躍進につながっているといえる。どこからでもチャンスを作れて、どこからでも点を取ることが出来る。相手からすれば嫌らしいチームに成長しつつある。
現在、東東京は都立雪谷のほかに都立小山台、都立広尾、都立葛飾野、都立千歳丘の計5チームがベスト16まで勝ち進んでいる。ここからは強豪私立との戦いが続いていく。都立雪谷は国士舘と対戦する。特別な事は必要ない。ベンチ入り全員の選手たちが今までの積み重ねを発揮し、戦っていくだけだ。
(文=河嶋宗一)