試合レポート

桐蔭学園vs向上

2012.04.22

桐蔭学園が10対0で向上を下す

 保土ヶ谷球場の第2試合は、3回戦屈指の好カードとなった。
 
第1シードの強豪、武相に5対0で完勝して波に乗る向上と、伝統校の桐蔭学園との対戦。
向上は、この強豪校との連戦を乗り切れば夏の大会の第1シード獲得が見えてくる。
一方の桐蔭学園も、長く遠ざかっている春季大会優勝のためには、通過点としなければならない試合だ。
この両校は、4年前にも対戦しており、その時は9回ニ死の土壇場から桐蔭学園が3点差を追いつき、延長の末に勝利するという劇的な試合だった。

この日は、横浜のポイント予報では15時から雨となっていた。気温11.9℃、湿度69%、降雨が心配される曇天の下、試合は幕を開けた。

1回表、桐蔭の先発投手、斉藤は向上の1、2番を連続三振に仕留めた後、3番の浅井をファーストゴロに討ち取り、上々の立ち上がりを見せる。

 一方、向上の先発、廣川は桐蔭の1番佐藤を四球で歩かせ、盗塁を許した後、2番和泉に死球を与えてしまい、いきなり無死一、ニ塁のピンチを迎える。ここで、セカンドランナーを上手く牽制球で刺し、3番松岡をセカンドゴロに討ち取ってニ死一塁。向上はピンチを脱したかに見えた。

しかし、桐蔭は4番小河、5番久保に三遊間を破る連続ヒットが出てニ死満塁と、またチャンスを取り戻す。
ここでバッターは6番森川。ストライクが入らず、3ボールと苦しくなった廣川は、その後、踏ん張って2つストライクを取る。ニ死満塁、フルカウント。廣川が投球に入ると、ランナーが一斉にスタート。そして森川がバットを振りぬくと、ライナー性の当たりがレフト線へ。この時、風速4.0mの北風に、やや押し戻されるような形となってライト西川は打球に追いつけず、走者一掃の2ベースとなる。初回、大きな3点が桐蔭に入った。

続く2回表、向上は4番田端のライト前ヒットと5番廣川の送りバントで一死ニ塁、反撃のチャンスを迎える。
 しかし、今度は桐蔭のキャッチャー森川が牽制球でニ塁ランナーを刺し、向上はチャンスを逸する。その裏、桐蔭は8番斉藤がレフトスタンドにソロホームランを打ち、1点を追加。リードを4点に広げる。


 3回は両校、三者凡退で得点が入らず、4回表の向上の攻撃。一死の後、3番浅井が四球を選び、4番田端が三遊間を破る2打席連続ヒット。さらに5番廣川が四球で出て、一死満塁。しかし、後続が連続三振に倒れて大きなチャンスを逃す。

ピンチを脱した桐蔭は、その裏、向上の2番手投手、塚脇から先頭打者の6番森川が三遊間を破るヒットで一塁に出ると、7番清水が送りバントで確実にランナーをニ塁に進める。その後、ニ死となるが、ここから9番嵩、1番佐藤の連続2ベースで2点を追加し、6対0とリードする。

向上は6回、3番浅井が一、ニ塁間を破るヒットで今日三度目の出塁をすると、ニ死の後、6番長井のセンター前ヒットとキャッチャーのパスボールでランナーニ、三塁のチャンスをつくる。しかし、7番遠藤が三振に倒れ、惜しくも得点できず。
その裏、桐蔭はまたも先頭の6番森川がセンター前ヒットで出塁すると、ニ盗を決める。

 ここで7番清水が左中間に2ベースを放ち、7点目が入る。さらに代走の土屋がキャッチャーの捕球ミスの間に三塁へ好走。一死の後、9番嵩が死球で出塁し、さらに盗塁に成功。ニ死の後、2番の菊池も四球を選び、満塁。ここでバッターは6回からライトに入っている3番西田。地区大会の金沢戦では満塁ホームランを打っているため、この満塁の場面で期待されたが、頭部に四球を受け、押し出しの8点目が入る。続く4番、小河の鋭い打球はサード強襲の内野安打となり、2者が還り、10対0。桐蔭のコールド勝ちとなった。

接戦が予想されただけに、意外な大差となったが、今日は桐蔭のキャッチャー、森川の活躍が光った。向上の2投手の高めの球に対して打ち上げず、鋭く打ち返して3安打。守備でも牽制球でセカンドランナーを刺して斉藤投手を援護した。また、今日の桐蔭打線は、ニ死から得点する勝負強さを見せ、これが大量得点につながった。
一方の向上は、2、4、5回とチャンスを作りながら、あと1本が出なかったのが悔やまれた。
結局、試合中の降雨はなく、視界やグラウンド条件に気象の影響は無かった。思わぬ大差がついてしまったが、向上は元々、実力校だけに今回の敗戦をバネに、これからチームを立て直し、夏には強豪校が一層恐れるチームになると期待している。また、桐蔭にはこの勝利で波に乗って上位に進出し、強豪校と対戦して好ゲームを展開して欲しい。

(文=松田祥二郎)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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