習志野vs金沢
3年生とともに
試合が終了し、カクテル光線を浴びる選手をみつめながら金沢の浅井純哉監督は、笑顔と大きな拍手で選手たちを迎えていた。するとその後、選手たちが浅井監督を胴上げし始めたのだ。じつはこの国体を最後に浅井監督は3年生とともにユニフォームを脱ぐことになっていたのである。試合後、浅井監督は目頭を熱くさせながら、ひとつひとつのことを噛みしめるかのよう話し出した。
「やりきった感があります。今日は楽しくてしょうがなかったです。高校野球ってのは、きついとか、苦しいとかのイメージもありますが、その先には楽しさや喜びが待っています。そのことをこの国体で見ている人に伝えたいなと思っていたので、それができてよかったです」
さらに主将の石田翔太も目を潤ませながらこう話した。
「監督には、本当に高校野球の素晴らしさというものを教えていただきました。結果として日本一を成し遂げることができませんでしたが、(浅井監督は)日本一にふさわしい男だと思います」。
10-11という乱打戦で、試合には敗れはしたが、エース釜田佳直の登板なしでも、チームが一丸となって戦い、最後の最後まで金沢ナインの気持ちがにじみ出ていたナイスゲームだった。
(文=編集部:アストロ)