岡豊vs高知工
2回表2点タイムリーを放った4番・横田(岡豊)
「鋼のチーム」へ。気合と根性の岡豊、新境地のベスト8!
一昨年は最速145キロ右腕・田内亘(現:JR四国)をエースに秋春連続で四国大会ベスト4へと進出した岡豊。伊野商監督時代に渡辺智男(現:埼玉西武スカウト)を育て、1985年(昭和60年)の第57回センバツで初出場初優勝の偉業を達成した山中直人監督を家長とし、選手たちが全く声を枯らすことなくついていく「気合と根性の野球」は試合のたび、観客に強烈なインパクトを与え続けた。
その魂は昨年にも受け継がれた。チームは一昨年のレギュラーが石川雄大(3年)1名だったにもかかわらず、春季大会2回戦で高知商に敗れた以外、公式戦4大会(新人戦、秋季、総体協賛、選手権)でベスト8以上を記録。彼らは先輩があと半歩で届かなかった甲子園へ再度チャレンジするための必要条件である「高知県内屈指の強豪」への礎をしっかりと築き、後輩へとバトンを渡したのである。
そして迎えた今季。新人戦初戦で高知海洋に敗れた苦い経験を経て、迎えた秋に指揮官は新たな刺激を加えた。新人戦からマスクをかぶる柴﨑隼也。先発バッテリーを組むのは1回戦の高知東工戦に続き変則左腕の入交真輝。「4番・一塁」に座り2長打5打点をマークした横田義輝。核となる選手にいずれも1年生を据え、スタメンにも実に6名の1年生を抜擢したのである。
結果、この試合では7回で全員出塁の12安打13得点。入交も3失点ながら高知工業3番・植田大樹(2年)に3安打を喫した他は1安打しか与えない好投。6四死球を与え、8盗塁を許すなどバッテリー間の連携には大きな課題を残したものの、一定の評価を与えられる内容で岡豊は最初のハードルであるベスト8進出を果たした。
そして試合後、山中直人監督は今後の決意をこう述べてくれた。
「この選手たちを鉄でなく、鋼(はがね)にしていくよ」。
単なる「鉄」ではなく燃焼要素の炭素を含んだ鉄である「鋼」。そして鋼の右の作りは「岡豊」の「岡」。心を燃やし戦う彼らにはこれ以上ふさわしい漢字はない。
(文=寺下友徳)