大垣商vs東濃実
青木(大垣商)
夏準Ｖの大垣商 3投手と攻撃の軸に奮起期待
秋の高校野球岐阜県大会は10日に開幕し、夏の大会準優勝の大垣商が東濃実を4対1で破った。
試合は初回、東濃実が3番日比野紘汰、4番大脇由季の連打などでチャンスを広げ、5番田口努人がスクイズを決め1点を先制。しかし大垣商は2回裏、敵失で同点に追いつくと、6回裏に途中出場の宅野裕哉が左翼タイムリーヒットを放ち勝ち越した。8回裏には敵失や9番富田綜一郎の犠飛で2点を追加。投げては青木翔太、遠藤匠悟、小池勇斗の3投手のリレーで相手打線を初回の1失点に抑えた。
初戦を突破した大垣商だが、必ずしも楽な展開ではなかった。相手を三者凡退に抑えたイニングはなく、重いムードで試合が進行したことに、生駒健吾監督も不満を隠せない。「投手の出来に心配が続き、守りに神経を使わなければならず、それが打つほうにも影響してしまった」。
旧チームではエース・森川達生が大黒柱として奮投したが、新チームではこの日投げた青木、小池、遠藤の3人が競い合い、彼らを中心に回していくプランだ。みな森川が故障で投げられなかった今年春から登板を重ねており、実戦経験はある。3者ともタイプが異なるが、中でも先発の青木はヒジが柔らかく、打者寄りにもってきてボールを押し込むようにリリースできる特長をもつ。「森川と比べると青木はまだ雲泥の差ですが、ボールの質は森川以上のものがあり、期待しているんですが・・・」（生駒監督）。ロースコアの試合展開に持ち込むためにも、3投手の奮起は欠かせない。
山田(東濃実)
投手陣と同様に発奮を促されたのが野手で軸となる長瀬圭輝・千田健太だ。2人はともに夏の大会で主軸を務め、新チームでは中心選手としての振る舞いも期待されるが、指揮官は「まだまだ引っ張りきれていない」と指摘する。特に最終回にエラーした長瀬については、「8回裏に2点取って、やれやれと思った矢先に、ああいうプレーをしていては…」（生駒監督）と、ゴロ処理がやや雑になってのミスに注文がついた。ただ、早い段階から起用されるのは期待の証。長瀬は体格もよく、持っている運動能力や身体の力をプレーに生かせれば、チームのみならず地区・県を牽引できる選手になれるかもしれない。
大垣商の次戦は1週間後に控える。「今日は帰ったらみっちり怒って、たくさん走らせて、ミーティングです」と苦笑いで去っていった生駒監督だが、毎シーズンごとに、きっちりと仕上げてくるのが大垣商の強さだ。旧チームが夏の県大会決勝まで進んだことで、他校より新チーム始動が遅くなった面はあるが、ここからの追い込みはきっと想定済み。この1週間でさらに強化され、一層レベルアップしたチームが見られるであろう事は、容易に想像がつく。
敗れた東濃実は、エース山田朋輝がサイドスローから崩れない投球を披露。低目に落ちていくスライダー系のボールを駆使しながら、何度かピンチを迎えながらも、7回2失点で粘った。打線は毎回ランナーを出したが、好機であと一本が出なかった。
（文＝尾関 雄一朗）
