文徳vs湧心館
今井翔太(文徳)
家族を尊敬すること
文徳の3番三塁手に今井翔太という選手がいる。
颯爽としたランニングスタイルに、内野守備をみていても野球に対する嗅覚の鋭さを感じさせるような何かが伝わってくる。
そう、元広島カープで代走のスペシャリストとして活躍された今井譲二氏の三男である。
ちなみに今年の6月に行われた大学選手権で初のベスト4と大躍進した東京国際大で活躍したのが次男・雄大である。父をはじめ、ともに高校球児であった九州学院OBの長男、鎮西OBの次男と今井家の野球選手は、みんな快足である。
だが、翔太は「自分はそんなに速くないんですよ」と謙遜する。偉大なる父と比べるのはなんだが、筆者は何度か見てきた中でも翔太の足は決して遅いとは感じない。逆に普通にみていて野球センスを備えた“俊敏な好選手”といいたいくらいだ。
そんな翔太は、いつも周りから足の速さについてよく問われることがあるというが「自分には自分の持ち味があるので、それを伸ばしていきたいです」と自信を持つ内野守備で、らしさを貫きたいと胸を張る。
技術的にも指導してくれる父からは、いつも試合前に「リラックスして、集中することを楽しめ」とアドバイスをもらっており、背中を追う兄たちからも常に励まされてきた。そしてこの日は、3番打者として左中間を深々と破る2点適時三塁打を放つなど思う存分、野球を楽しんだ。そんな翔太の活躍もあって、文徳は12-0という大差で湧心館を降し、夏の第一歩を踏み出した。
父、そして二人の兄を純粋に尊敬する翔太。その真剣な眼差しをみているとこちらの方までまっすぐな気持ちになるくらいだ。そんな翔太が教えてくれた「家族を尊敬すること」。
それは知らず知らずのうちに、計り知れない力となって、翔太をさらに大きくさせてくれるに違いない。
(文=編集部:アストロ)